不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

普通に人種差別の話し

今回のラスベガスの出張は弊社に入社してから3回目になります。 一番最初は東日本大震災直後、以後3年ごとです。 私が視察するCONEXPOというのは世界三大建機展示会で、文字通り世界中の関係業者が集い、ネジから巨大クレーンに到るまで、建設や工業に関する全てのものが展示されます。
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どの企業も自社の製品を紹介したいわけですから、ブースに訪れた訪問者を捕まえては色々話しをするはずなのですが・・・。今年はやや様相が異なるなと言う感想が正直なところ。ま、ボチボチ話します。 前回2014年は展示会場の一番いい場所にSANYが広く場所を取っていました。SANYは中国本土の企業ですが日本で言えば三菱重工業のような国家経済の舵取り的大企業です。何十本の大型クレーンの先に無数の真っ赤な旗がはためいていたものです。 しかし今回は、敷地面積半分でずーっと奥の方の会場に移ってしまいました。他の主要中国企業も若干展示規模が小さくなった気がします。まあ、中国経済は落ち目なんだろうなと言う実感はありましたね。 反対に増えたサインというか表示が「Made in USA」。"I MAKE AMERICA" なんていうシールもあちこちで配っていました。日本がバブルの頃のアメリカを彷彿とさせます。国家に自信がないときや復活させる魔法の言葉群です(笑) 神はアメリカを祝福している、アメリカはナンバーワン、などなど。出店していた米国企業の多くで熱気ムンムンという感じでした。
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さて本題、アメリカにおける有色人種の比率はご存じでしょうか?ざっくり25%、つまり4人に1人は有色人種です(黒人、ヒスパニック、ネイティブ、アジア人など)。実際には黒人は南部に多いとか、アジア人は西海岸に多いとかありますけどね。確かに街を歩いていると出会う確率もそんなものかなと思いますが・・・。強いていえば東海岸の真ん中から上などは人種差別は少ないと思います。ボストン辺りに住んでいる黒人の皆様などはモーガン・フリーマンばりに品格を濃厚に漂わせている人が大勢います。
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展示会では米国企業の出展者の悉くが白人です。入場者でも黒人はほとんど見ません。今回私はモノレールのターミナル駅から展示会場まで行きましたが、モノレールを待つ間、数百人はいたであろう長蛇の列の中に私以外の有色人種は2.3人のアジア人。黒人は皆無でした。 展示会ではその企業の人種に対する指向性をある程度測ることができます。私の場合は接待態度で。普通はよほど多忙でなければスタッフは寄ってくるものですが、製品を逐一眺めていても寄ってこない場合、 金持ちそうな来訪者にだけもてなすスタッフ。 欧米人の来訪者だけもてなすスタッフ。 日本人以外、欧米人しかもてなさないスタッフ。 有色人の来訪者をもてなさないが、日本人と分かるとすっ飛んでくるスタッフ。 いかなる有色人来訪者ももてなさないが、なにかいい商売ネタを持っていそうな場合のみすっ飛んでくるスタッフ。 例外なくどんな有色人来訪者ももてなさないスタッフ。 有色人来訪者が質問しても最小限にしか答えないスタッフ。 有色人来訪者の質問を避けるスタッフ。 有色人来訪者を無視するスタッフ。 有色人来訪者を追い払おうとするスタッフ。 こんなスタッフが複数人いたら、その企業は企業全体で人種差別をしていると考えています。言ってはなんですが日本人と知って邪剣にするなどという事は冷静に考えたらありえないだろって思いますよ。普通。 今回そういう会社が多かった気がします。数社で丹念に製品を見ていても完全無視、白人が来ると応対していたのを横目で見てました。質問してもかなり素っ気ない態度だったり。日本人としてこれはちょっと腹が立つこともしばしば。そんな気持ちで会場を眺めていると白人ばかりの会場に虚無感を感じます。 有色人種の多くは会場のゴミを回収したり掃除をしたりという裏手ばかり。人種差別者たちにしてみたら世界最高のエンジンや機械を作る日本人も、アメリカでは見下されているブルーカラーと同じレベルです。(日本ではブルーカラーに対する差別すらかなり希薄なのも余計にアメリカ社会に対して気分を害される) 業者さんたちの何人かと政治の話をしました。驚くべきことに、かなり多くの人がトランプ大統領支持者でした。軍事や外交には問題があるものの、少なくとも経済では大変期待ができるとか。 この人種差別的な空気が大統領のせいなのかどうかは全く分かりません。 ただ間違いなくその空気は濃厚になってきました。 かなり根強い人種差別が未だこの国にあるのもまた然り。 その中にあって日本は超VIP待遇ではありますが、それでも黙っていたら白人から見たら中国人や韓国人と同じです。
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ま、私はただの一般参加者ですから何かできるわけではありませんが、挙動や佇まい、立居姿、話し方など、日本国民として優雅で品格があるように心掛けています。 そういう意味においてはなるべく正しい英語を話す必要はありますが、人となりを醸し出す服装や雰囲気も更に重要です。同じアジア人でもやはり日本人の雰囲気は独特、品位あるなと言う場合がほとんどです、幸いにも。 米国留学時代にも豪州赴任時代にも人種差別には遭っています。あれはいやなものですが日本人として敢然と対決して大抵は決着を付けてます。泣き寝入りはしない主義です。とはいえ人種差別というのは独りではほとんど無力です。津波に独りで立ち向かうようなもの。個人的には日本という非白人国が持つ優美さ優秀性などを旗印に、有色人種たちもプライドを持って精進し、社会的にもっと上の方を狙って欲しいと思います。 白人たちが邪悪だと行っているわけではありません、もちろん。個々で人種差別者なんてごく僅かだと思います。黒人でもボストン住民のような人たちばかりいれば、もっともっと黒人の社会的地位が上がると思います。どうも無気力感が多いと思う有色人種の人が多いのも事実です。 なかなかどうして、難しくも巨大な、歴史的問題を抱えるアメリカでした。 平成二十九年弥生十六日 不動庵 碧洲齋