不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

YOUは何しにニッポンへ?

テレビ番組の話しではありません。 金曜日の夜から土曜日にかけて家族で西伊豆に行ってきました。伊豆半島の西側の付け根、沼津市の南方向、つまり修善寺辺りです。 西伊豆相模湾越しに富士山が見えます。そして恐ろしく海がきれい。福山雅治さん主演「ガリレオ」の映画版「真夏の方程式」でもロケにその辺りが使われました。 また機会があったら行ってみたいところです。 修善寺には多くの海外観光客がいました。もちろん中国人が多い。そういうことでじっくりと観察させて貰いました。 確かにしゃべり方がうるさいなと思いますが、やっぱり多くの人はそれなりにそこの雰囲気に気を遣っているのが分かります。傍若無人な人は見かけません。 一生懸命に貯金してやってきたのでしょう。見たところ多くの人が心から楽しんでいるようでした。 足湯に入りました。目の前の中国人の青年はスマホで誰かと話していて、風情のない奴と感じました(笑)。その隣の初老の夫婦はのんびりと楽しんでいた様子でしたが、私たちの隣に若い夫婦が幼児を連れて足湯につかると、私たちには分からない中国語で、多分「こっちの低いところの方が子供の足も浸かれるよ」と言ったのだと思います。お父さんはにこやかでしたがお母さんは警戒気味。中国人の夫婦は気にもせずにその幼児を見てニコニコしていました。途中で親族か娘か、若い女性が来て一緒に足湯を楽しんでいました。そういう私たちも食べ終わってからですが、そこは飲食禁止、携帯禁止であることを知り、恥ずかしい思いをしました。マナーを守らない日本人と見られたでしょうか。 竹林では国籍に関係なく皆感動していましたし、寺庭も素晴らしいものでした。初めて食べた料理もあったと思いますが、中国人観光客の皆さんは大変喜んでいるようでした。
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ネットでは気分が悪くなるほどに中国人や韓国人を排撃している人がいます。確かに世界的に見て大変ご迷惑な人の割合がかなり高いのは紛れもない事実です。これは私の体感に基づくものです。ただしそうは言ってもやはり日本に来る観光客はある程度選別されている上に、その場の雰囲気をある程度読む人が多いように思います。実際、ロシアや豪州、米国で見た中国人観光客はぶったまげる人が多かった。韓国人然り。日本に来る中国人観光客はそれでもかなり洗練されているように感じます。まあ少々の無礼は許したいところ。 私はバブルの終わり頃に米国に留学しましたが、その頃の日本人観光客だって相当恥ずかしかった。今の中国人の大国意識よろしく、アメリカ全土を買い上げてやるとか自動車会社を潰してやるとか、アメリカはもう終わりとか、それはもう大変な気炎を吐いてましたし観光客としてのマナーも今の中国人観光客ほどではないにしろ留学生として傍から見ている限りはかなり恥ずかしかった。中国人がどうのとはあまり言えないのではないでしょうか。 因みにその頃の日本は文化的にはそれほど欧米諸国の一般市民から高い評価を受けていたようには思えません。一部のマニアックな人たちからは崇拝されていたようですが。やはり日本が名実共に重厚感が出てきた感があるのは21世紀になった辺りから。欧米人たちが日本に対してへりくだってきたり、敬意を見せるようになったのはここ15-20年ぐらいのように思います。 日本は世界で一番古い国で一番古い王族を擁しています。そしてなかなかユニークな歴史を持っていることもまた然り。どの国も歴史はユニークではありますが、アジアで唯一の先進国で世界最古の国となるとやはりその異色さは燦然としています。 それを殊更日本の優位性を強調したり愛国心を持ち出したりと、日本の雅やかさから外れます。 私から言わせて貰うと「愛国心」なるものはある意味米国や豪州といった植民地国家の専売特許のように思います。もしくは戦後独立を果たしてきた新興国の合い言葉です。実際に欧州諸国ではあまり聞きませんし、欧州では米国のような感じで愛国心を叫んだりするのはあまり優雅ではありません。いわんや日本でそんなことをすべきではないと思っています。日本の祖国愛はそういうゲスな方法であってはいけない。日本人が下品であることに私は耐えられません。日本には言葉による愛国心はいらない。各々の国民が粛々と自らの為すべき事を成し、身を慎み和を尊ぶ、これが日本人流の愛国心の表現ではないかといつも信じています。 世界からの日本への敬意は多分、日本人ひとりひとりのそのような日常的な規範に基づく行動の中にあると思っています。その私たちの日頃からの何気ない行動の中に宗教観や哲学、伝統や文化が仄かに香り、それがえもいわれぬ雰囲気を醸し出して外国人たちを虜にしていると信じたい。 国家の定義は主権、領土、国民という事実は動きませんから国家元首と日本列島と日本国民を守るための機構や武器があって然りですが、そういうものに可能な限り依存しない、そういうものを感じさせないことこそが日本人の本領ではないかと思うのです。目を怒らせ世界で片手でも余る数しかない反日国家にギラギラした敵意を向けることはとても優雅ではない。それらの国々から損益を被ってはいけませんし、被害を受けないようには万全を期すべきですが、日本人ならではの優雅で泰然とした方法があるものと考えています。何よりもそれらの国への態度によって、それ以外の多くの国々からの敬意を失ってはいけないと思います。 これだけネットが普及しているというのに日本人の多くは恐ろしくインバウンドです。外国に向かって発信しなさすぎます。先進国なのに笑っちゃうくらいにショボすぎます。日本人同士で愛国心だの反日だのと渦巻いている様を見る度にぞっとします。世界はもっと拓けています。世界中で色々なことが話し合われています。私も今日だけで数件もの英語の投稿をして読まれましたが、本気で日本の優秀さを示したいなら日本人同士で喧々囂々とやるよりもせめて英語でどこぞのニュースサイトのコメントに投稿したりSNSで外国人と友達になって意見し会ったりしてみて下さい。何度も言いますが日本人同士で傷の舐め合いをしても全然意味がありません。英語ができないというのももはや理由になりません。義務教育、高校まで出ていたら6年は英語を学んでいるはずですし、今時はなかなか精度が高い翻訳サイトもあります。島国根性とか内弁慶でないというなら是非とも勇気を持って世界に意見してみて下さい。 日本の素晴らしさは日本人ひとりひとりの、その立ち振る舞いや雰囲気で魅せるべきです。
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平成二十七年霜月二十五日 不動庵 碧洲齋