不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

2015年 自衛隊音楽祭 ”道”

昨日は雨天の中、日本武道館で行われる自衛隊音楽祭を鑑賞するために息子と都内に出かけました。

九段下に到着するとまず腹ごしらえ。少し歩き回ったのですが適当な店がなかったのでジョナサンにしました。良く探せばそれなりにいいお店はあると思います。

開演1時間半以上前でしたが並ぶために武道館に向かうと人が増えてきました。

前回鑑賞したときのようにそれなりに人は多いように思いました。日本武道館には初めて来た息子はその偉容に驚いていました。曰く「ここが24時間テレビの場所か!」

並ぶ列は全部で3列。私たちは一番奥の3列目に並びましたが、最後尾はほとんど清水門が見える辺りでした。250メートルほどでしょうか。

それでも実際に入場すると結構早かった方で、2階席の比較的良い場所に座れました。(後でこれが大当たりだったことが分かります)

金曜日にフランスでテロがあったばかりだったので、セキュリティが厳しくなることを見越して、開場30分以上前には並んでいましたが、予想通り並び始めてほとんどすぐに時間繰り上げで開場となりました。

海外では普通によく見かけますが、日本のこのような場所で金属探知機がずらっと並んでいる様を見ると胸が痛みます。ほんの4.5年ぐらい前にはそんなものは市井では滅多にお目にかかりませんでした。

それでも自衛官の皆様はこちらが恐縮するほど礼儀正しかったし、丁寧な対応だったので誰からも不満は出なかったようです。

私は物理的、システム的なセキュリティには限界点があると思います。結局のところ最大の安全は人に依存します。人の善意や徳性が狂気を押さえます。欧米が軍隊や警察、対抗措置などと言っている内はエスカレートするばかりではないかと思うのです。そういう意味で日本は比較的理想に近い状態のような気がします。平和ぼけとか言われていますが、実際に世界の先進国が怯えるようなテロには遭ったことがない(今のところ)。これからもこのままでいいのかどうかは全く分かりませんが、これはこれで素晴らしい方法だと私は思っています。

北側が正面で私たちは丁度向かって右角あたり。以前見に行ったときは2階席で結構遠かったのを覚えていますが、今回はステージの人の顔がハッキリと見える距離でした。

1時間近く本を読んだりして息子と時間を潰しましたが、息子と並んで本を読んでいると他の人たちがスマホをいじっている人が多いので結構目だった感じがします。年配の人までもが本ではなくスマホだったのでちょっとガックリ。

開演最初に国歌斉唱。みんなちゃんと立って歌いましたが、やっぱり「君が代」っていいですね。短いからこそ皆丁寧に歌い上げます。もちろん自衛隊に思うところがある人は来ませんから統率感があった。礼儀正しくて気持ちよくしかも荘厳でした。

その後の最初の音楽は宇宙戦艦ヤマトの音楽!鳥肌ものでした。

その後、マーチングバンドはどの部隊も大変素晴らしかった。息子も食い入って見ていました。陸海空自衛隊と米軍在日、第七艦隊、空軍など。ゲストバンドとして韓国海軍もきていましたがこれは後ほど。

自衛隊各隊の太鼓グループが実に素晴らしかった。日本全国の自衛太鼓を合わせると、1人で持てるサイズの太鼓(1.4尺って言うのかな?)だけでも150個、それ以外を合わせると多分200以上はあったのではないでしょうか。音と言うよりはほとんど衝撃波を体感した感じでした。おかしな事に息子はその衝撃波が大変心地よかったらしく「眠くなった」そうです。

やっぱりアメリカ軍のバンドは何気にお洒落ですね。個人的には日本の統率された動きの方が好きですが、あの感じが好きな若い世代は多いと思います。

第二部では一番最初に自衛隊OBである宇宙飛行士油井さんからビデオメッセージが流れました。もちろんISSにて撮影されたものです。実は油井さんも現役の頃、自衛隊音楽祭に参加したことがあるのだとか。油井さん曰く

「地図には国境が引かれていますが、ISSから見える地球には国境は見えません。音楽は世界共通の言語です。」全くその通りです。実際、宇宙飛行士が宇宙に出ると衝撃的に人生観が変わる人が多いとか。

・・・という前振りがあってから韓国海軍音楽隊の出番。

アリランはまずまず良かったのですが、あんたたちの任務は「交流」でしょうに。だったら開催国の音楽の1つでも演奏するんじゃないの?米軍だって出番が多かったせいもありますが、幾つか日本の歌を演奏していました。

そして今、日本の対韓感情が微妙だというのに最後に軍楽隊の頭上に巨大な太極旗を流すって、油井さんのせっかくのフォローをメチャクチャにしてませんか?米軍だって国旗を振りかざしたりしてないし。

周囲の観客の空気は寒くて白けていましたが、そこはさすがに日本、みんな温かい拍手だけはしました。私もしましたけどね。やっぱり韓国、KY度が普通じゃない。スタッフさんや周囲の観客も苦笑していました、もちろん。昔からどの国でも海軍はスマートでインテリで国際的であることをモットーとしているんですけどね。ちょっと残念だよ。

YouTubeでもこの演奏はアップされているようです)

最後の最後で今年も出ました、三宅由佳莉さん。いや~いつ見ても本当に美しいお姿と歌声。さっきまでのいや~な空気を完全に吹っ飛ばしていました。三宅さん以後、続々歌姫採用をしたので、今回は3人そろった歌姫です。息子は一番右端の歌姫がよいと言っていましたが、私は三宅さんです。そして大変嬉しいことに彼女たちのホームポジションが私たちが座っている席のすぐ近く。表情までハッキリ見えて、時々こちらに向かって微笑んでくれます。自衛隊はあまり個々を出さないためか、歌姫たちの名前は紹介しませんでした。まあ有名ですからね。

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まだまだ余韻が残った状態で閉演。入口も近かったので大きな混乱もなく外に出て、かなりの割合がその足で靖国神社に向かったように、私たちも靖国神社に向かいました。昨今、外国人参拝者が増えてきていますがよいことです。先の大戦について、「言上仕る」ことが大変少ない日本です。神社や遊就館を巡ってよく見て欲しいと思います。

靖国神社では黒人の旦那様と日本人の奥様、2人の娘が参拝に来ていました。

日本の神道の素晴らしいところは人種や宗教がどんなものであれ、受け入れるところ。他の神を信じている人でも受け入れる懐の広さにあります。こういうものの考え方こそ、人類が願ってやまない平和に繋がる方法論ではないかと信じています。

フランスでは大変残虐かつ大規模なテロがありました。犠牲になった方々、負傷された方々には心からお悔やみを申し上げます。負の連鎖が力によるものでなく、人類の叡智や道徳といった、別のものによって断ち切れることができるよう、私は祈っています。

フランス国民に弔意を込めて

平成二十七年霜月十六日

不動庵 碧洲齋