不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

今朝の夢

久しぶりにリアルな夢を見ました。

しかも武道に関連する夢です。

パーティー会場にて。多分、当流で数年前まで行っていた年に一度の大会に付随したパーティーではなかったでしょうか。割に高級なホテルの広間で立食式で行われていました。

名前は失念しましたが、世界で活躍する格闘技家たちも多く来ていて、他道場の同門たちは皆、その有名人たちの方に集まっていきました。

私は黙々と料理を食べていましたが、ふと顔を上げるとテーブルの向かいに1人のアジア人が立っていて私をじっと見つめていました。

何を隠そう・・・ブルース・リー・・・

一瞬だけ、どうして周囲の人はブルース・リーに気付かないんだろうと思いましたが、暫く私も見つめ返しました。やや派手な白いスーツを着ていましたが、表情は至って柔和。ただし目は笑っておらず、私のつま先から頭のてっぺんまでじっくり観察しているかの様でした。

こんな感じ

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私はすぐに歩み寄って自分の名前を告げ手を差し伸べると彼もすぐに手を差し伸べて握手しましたが、やはり少し痛いくらいに握り返してきました。近くに寄ると言い難い野性的な雰囲気を感じました。

「君も同じブルースだ」彼には言っていない私の英名をサラリと言われて驚きました。私は日本人としては比較的珍しく英語名を持っています。それがブルースです。

「とても合っている気がする」これまた唐突に感想を言われて、私は謝意を述べました。さすがに「由来はあなたからです」とは言えなかった。

私は嬉しくなって「今は当流を稽古していますが、高校生の頃はどうしても截拳道を学びたかったです。」と言いましたが、彼は暗い顔をして首を振りました。

「やらなくてよかった。あれは・・・まだまだ完全にはほど遠い。全然ダメだ。」

「・・・」

暫く何か話していた気がします。

「さっきから見ていたけど、君はいい腕をしている。ちょっとその棒で私を突いてくれ。」

突然、ブルース・リーがそう言いました。何故かテーブルには6尺棒が立てかけられていました。

ブルース・リーは何故か上衣を脱いで、更にシャツも脱ぎ、上半身裸で私に立ちはだかり、軽く構えました。周囲の人たちは別に気に止めるでもなく、他の人たちと話したりしています。

こんな感じ

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私も上衣を脱いで六尺棒を構えましたが、さすがにかの有名なブルース・リーに仕掛けるというのには躊躇しました。

ブルース・リーはさすがに苛立ってきて、「早くしろ!一度だけだ、もうこんなチャンスはないぞ!」と言いました。

言われてみればその通りで、私は猛烈な闘志を巻き上げて構えましたが、突く直前、闘志だけでなく対象の認識や自分、世界を消失させたかのように「無」の感覚を以て突き入ったところ、ブルース・リーの丁度右胸にドンと命中してよろけました。

私も驚きましたが、確実に避けられるという自信があった本人もかなり驚いた様子で私を見返しました。当ったところは棒の先端よりも随分大きな円形の痣になってしまいました。

私は慌てて「本当に当るとは思いませんでした。済みません。」と謝りましたが、ブルース・リーは何か考え事をしながら服を着て、ふと私に尋ねました。

「日本語の”捌き”は英語では何と言ったか・・・」

その時初めて英語で話していたことに気付きました(苦笑)。

「何でしょうか?avoidでもないし・・・control? handle?」

ブルース・リーは苦笑しながら「”捌き”という言葉は深いなぁ。・・・君の突きは”捌く/捌かれる”を超えたものだった。自分と相手がいない突きだった。だから私だって避けようがなかった。日本語で”無”というやつだろうか・・・」と言いました。

そして、シャンパンが入ったグラスを手にしながら、独りでつぶやくように「うん、そうだ。これが足りないのか・・・」と言いながら去って行きました。

武道関係の夢は希に見ますが、英語では初めてです。

それにしてもブルース・リーのなんとリアルだったこと。70年代の感じそのままのファッションと野性味のある雰囲気、圧倒的な存在感が朝起きて今でも感じます。

20数年前からアメリカ陸軍グリーンベレーの同門が何気に「ブルース・リーに似ているから」ということで「ブルース」と私に名付けてから好んで使っていますが、いつも近くにジークンドーブルース・リーが近くにいる気はします。10代、20代は大変影響を受けました。留学時、シアトルに行く機会がありましたが、その折、ブルース・リーの墓がある霊園の前に来たものの、結局見るに忍びず、行きませんでした。自分と同じ名前のしかも偉大な人の墓を見ることは気持ちのいいことではありません。

武芸では夢で奥義を悟ることが多くあります。奥義かどうかは別として、今まで私も数回、似たような事があります。それ自体は希有なことではありませんが、英語でしかも故人からというのは初めてなのであえて書き留めようと思い立った次第です。

平成二十七年卯月二十四日

不動庵 碧洲齋