国歌の曲調
師走大晦日の前日、私はモスクワを北上すること500キロほどにある、世界文化遺産にもなっているとある寺院を訪れました。その時の気温は-25℃以下。
寺院とその周囲の森は本当に氷結したかのように美しい景色でした。
大晦日、テレビを観ました。プーチン大統領の挨拶の後、ロシア国歌が流れてきましたが、その時になってやっと、あの曲調が意味するところを手づかみで感じることができました。
あのロシア国歌を聴いたときにすぐに閃いたのは数日前まで見ていた、どこまでも白い凍てつくような雪原と雪に覆われた森林でした。
現在のロシア国歌の歌詞は今世紀より制定されたものですが、曲は1938年に作られたものです。
ロシア国歌を聞いたことがありますか?是非一度、じっくり聴くことをお勧めします。
私は世界の国歌集を持っていたことがあり、ほとんどの国の国歌をよく聞いていましたが、我が国の国歌を別にすれば間違いなくロシア国歌の曲はダントツに美しい。少なくとも日本人の琴線に触れるに十分なメロディーではないかと思っています。
もの哀しくも力強いあの曲調は、ロシアの冬に代表される大変厳しくそして美しい自然の中で醸成されたものだという確信があります。本物の美しさとはえてしてそのようなところで造り出されるものだと思います。
平成二十七年睦月六日
不動庵 碧洲齋