不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

敵と味方、友だちと・・・

昨日は息子の誕生日を控えて誕生日プレゼントを何にするか色々相談し、結局アマゾンで目に止まったのが「スタートレック」に出てくるスターシップ エンタープライズ号にしました。最新型のE型で1/1400だからまずまず大きい。チト高かったが・・・。本人はもうおおはしゃぎです。妻に了解を取付けると「息子じゃなくてあなたが欲しいんじゃないの?」と揶揄されました(苦笑)選んだのは確かに息子ですが、敢えて否定はしません。

そのノリで息子が何かスタートレックをネットで観たいというので、検索して「スタートレックネクストジェネレーション」を1本観ました。

宇宙連邦航宙艦隊所属、 NCC-1701E USS エンタープライズ

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その話しはとある惑星で宇宙連邦軍の宿敵であるボーグを捕獲した話。ボーグは有機体と機械のハイブリッド生命体で、何でもかんでも取り込んで同化させてしまうちょっと怖い種族です。集合体なので「個人」は存在せず、個体が話すときはいつも「我々はボーグだ」という感じです。

そのボーグは負傷していてようやく修復するも、集合体意識から切り離されて混乱する中、徐々に「自我」意識が芽生えてくると共に、乗組員たちと心を通わせるようになって、やがて友情が芽生えてくるが・・・というもの。

最初は敵愾心に燃えている艦長はそのボーグをうまく利用してボーグの母船に回収させて、ウィルスプログラムを伝染させようという話しでしたが、捕獲されたボーグが自我を認識し始めたのを認めると、苦渋の決断を下します。その「自我」を持ったボーグを送り返すことで、もしかしたらボーグは人類をもっとよく理解するかもしれないという希望を持って。

毎度ながらスタートレックの話しは考えさせられるものが多い。

息子も寝るまでずっと考え込んでいました。

私たちは基本的に二元的思考というかスイッチ思考で考え、行動します。

「敵か味方か」というのは少々極端にしても、「損得」「利害」「快不快」など、どうしても自分を織込んで勘定してしまいます。そしてそういう味方が増えるとどうしても貧相な人間になりがちです。

息子はぼそっと「敵とか味方で考えると、いやな人間になるね」と言いましたが、全くその通り。なるべくそのように考えずに済むようにして、そしてその通りに行動することが人としては誉められるべきかと思う次第。

私はきれい事を言うつもりはありません。敵味方という見方は絶対に不可欠ですし、その見方を否定するつもりもありません。なるべくその見方に比重を置かずに済むように、という言い方が正しいでしょうか。

私の周囲にもスイッチ式の思考形態に支配されている人がとても多い(笑)。左右でなければ上下、さもなければ前後と、絶望的なレベルの人もいます。何が左右上下前後するのか、それそのものはなんなのか、その議論を十分にしないうちから二つに一つの判断をたくさんさせることは子供にとっては決して良いものではないと考えています。

私は息子が宇宙の話をしているときの表情がとても好きです。まだ見ぬ先進技術を満載した宇宙船に乗って漆黒の宇宙空間を航行する。そういう話しをするときの息子はある意味、私の未来に托したタイムカプセルです。多分、息子が私ぐらいの年齢になれば宇宙空間から地球を見る人の数も飛躍的に増えるでしょう。その時、人類は青い地球を見ながら初めて戦争や環境破壊など、穴があったら入りたくなるような恥辱感と後悔を持つと思います。できたらそれは環境破壊がどうにもならなくなる前であって欲しい。そしてそれが宇宙開発を活発にして地球を再生させる原動力になると私は思っています。

「宇宙、それは人類に残された最後の開拓地である」

スタートレックの有名なナレーションですが、これは今なお色褪せぬ金言だと思います。

平成二十六年長月九日

不動庵 碧洲齋