先日、この本を買いました。
「男の品格」(川北義則)PHP文庫
丁度死んだオヤジと同じ年齢の人が書いたものだし、タイトルも良さそうだったし、実際ちょっと読んだ限りではなかなか良さそうだったので早速買ってみて、昨日から読み始めてみたものの、半分まで来て「あ、こういうのは受け付けない」と感じた次第。
全体的に男の美学についてはなかなかいいことが書かれていて、それらに関しては私も全く同意します。
絶対に同意しかねるところは女性に対して。
結婚と恋愛は別だから、男は妻の他に女を持て。
心のゆとりのために結婚しても女は作れ。
後腐れの無い女を持て。
他人の女がいい。
女との関係は家族には内緒。
女友達に手を出しても良い。
しかし妻は貞操であれ。
1章でサラッと書いてあればよかったのですが、どの章でも結構しつこくこれらが書かれている。
80にもなろうという男がこうきことをネチネチ書く図はいかがなものか。
この人の周囲には不義や不貞の輩がたくさんいるのかも知れませんが、私の周囲には不倫はともかくそれに対して平然としている人はいません。不倫や浮気をなんとも思っていない人は残念ですが私と価値観を一にしません。
この人の言っていることは都合が良すぎる。
不貞を働くことが心のゆとり。
お金に余裕を持つことが心のゆとり。
しかし秘密を持て。
結婚した相手にはそれを許さない。
バカかこのオヤジは?と思います。まあ、それがカッコイイと思っているのだから世の中の価値観というのは多種多様ではありますが、私はそういう人間は他にどんな優秀であっても絶対に信用しません。
息子がそういう大人に育ったら必ず刺し違えます。
友人でそういうのがいたら殴ってでも止めさせて、直らなかったら縁を切ります。
人として義に悖るようなことを平気で勧めて、書き物で生業を営む輩、しかも80になんなんとする男がいるのだから恐れ入った。
真面目だけではいけないのは間違いない、これは川北氏が言うところは正しいが、不義をするという発想は愚かとしか言いようがない。自信持って言えるが、欧米はもちろんのこと中東でもアジアでもそんなことは決して賛同を得ない。
まあ、ちょっと心が緩く造られた金持ちの道楽ぐらいならありかもしれないが、世の中を動かしている大半の人はそんな奴らではないと信じています。
私たちは機械ではないから、誰かと付き合っているときや、結婚した後でも魅力的に感じる女性に対して、一線を越えてしまうことはあるということは間違いありません。問題はそれを悔いるか、更にのめり込むか。たとえ我が身が破滅とならなくとものめり込む方が、この場合は敗者です。悔いた方が勝者です。80にもなってそんなことも分からないようではキャリアはともかくロクな人生ではないと私は断言します。
ちなみに私が信条としている指針はたくさんありますが主に「教育勅語」と「仏教」です。個人的には自分にとっても息子にとっても鉄板の教えだと思っています。私自身、頭が良くないとか、要領が良くないとか、金がないとかツッコまれどころはたくさん持ちますが、少なくとも人として清く、正しく、強く、賢くあろうと努力しているという点では後れを取っていないつもりです。多分これは世界共通ではなかろうかと思う次第。
この本は最近また増えてきた他の本と共にブックオフ行きとなる。やれやれ。
平成二十六年長月十九日
不動庵 碧洲齋