不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

19日は一路北へ

19日は有給休暇を取ってフィンランド同門と前日めでたく夫婦になった門下生計4人で宇都宮まで行きました。 最初の目的地は大谷石資料館。大谷石ってご存じですか?名前は知らなくても見たことがない人はいないと思います。これです。
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英語ではライムストーンと呼ばれ、軽くて容易に加工ができる石です。日本建築の至る所で使われていますね。 それが採掘されているのが宇都宮市郊外にある大谷と呼ばれる場所です。 もちろん今でも採掘はされていますが、その中でも採掘が終わった所の一つが資料館になっています。 どのくらい広いかというと・・・天井の高さは多分10メートルはあるかと。広さは2万平方メートルで東京ドームにしたら大体半分ですが、これは開放されている部分だけ。未解放部分を合わせたら3つ4つ分ぐらいにはなりそうです。 戦時中は中島飛行機の工場としても使われたそうです。ここから太田市まで遠くないですからね。 あまり日本っぽくない風景なので印象は強く残ります。私はもう3回目ですが、何度来ても飽きない。 下に降りようとしたら係の方が「半袖では寒いと思いますよ」と言いました。ちゃんと毛布まで貸し出してくれる用意周到さ。下に降りて見ると確かに寒かった。7度。冷蔵庫ぐらいです。真夏はとても涼しいと感じるはずです。 やはり人間というのは巨大なものに惹かれます。ピラミッド然り、古墳然り、理屈じゃないんでしょうね。男だったらスマートでコンパクトなイージス艦よりも古風で巨大な宇宙戦艦に憧れるものです(笑)。 静かに見られることを期待していたのですが、江東区から小学生の遠足が来ていて結構賑わっていました。 その後、車ですぐの所にある天台宗大谷寺に行きました。大谷磨崖仏として知られています。日本でも珍しい洞窟寺院です。本尊は日本最古の石仏だとか。全部で4組あるのですが、本尊とされている千手観音の神々しさは格別です。圧倒されます。(センサー式自動音声解説はもうちょっと何とかならんでしょうか。住職のお声はとても通っていて素晴らしいのですが、やはり機械式故、雰囲気をやや壊します。)1200年以上前に作られたものです。それ以外の仏像も平安中期から鎌倉にかけて作られたものとか。
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その足下はなんと縄文時代初期の遺跡になっています。縄文人が住んでいました。遺骨も発見されており、11000年前のものとか。縄文人の遺骨としてはこれも日本最古だそうです。原始人が住んでいたり、仏像が彫られたり、多分何かパワーがある所なんでしょうね。 寺には資料館があり、遺跡から発掘されたものが展示されています。また、寺庭も非常に手入れがよく美しい。季節を問わず見る価値があります。 寺の斜向いに大谷平和観音があります。全長27メートルもあります。それはそれで巨大ですが、作り始めたのが昭和23年。終戦からまだ3年足らず。まだ人々が食糧不足や混乱に喘いでいたときでした。完成はそれから6年後の昭和29年。そういう想いが形になったとき、それはとても尊いものに見えます。この観音様には肩ぐらいの高さに展望台があり階段で登ることが出来ます。なかなかの景色です。
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それから向かったのは多気不動尊。どのくらい有名なのか分かりませんが、結構ある石段を登ります。水子供養の敷地も広く、もしかしたらそういう人もよく来るのではないかと思います。平日だったので貸しきりのように静かでした。
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平成二十六年皐月二十日 不動庵 碧洲齋