不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

子供の教育に想う

最近よくニュースを騒がすテロと見まごう犯行が目に付きます。

単に自分自身がやけになって暴走するだけですが、若い世代が非常に多い。

今回、名古屋で歩道を暴走して、男女13人を次々はねた大野木亮太容疑者(30歳)の父親と弟はなんと警察官。しかも父親は総務部の幹部というのだ。

昨年5月に弟が独立したことを機に、長男を置いてみんな出て行ってしまったというのだから呆れてしまう。しかも無職の息子に生活費だけは渡すというのだから一体どんな教育をしているのか。

30歳とは言え親や家族に全く責任がないとは言いがたい。

どんな家庭だったかは勝手に想像するしかありませんが、30歳になったとは言え独り立ちしない息子に「出ていけ」ではなく家族が出て行ってしまう辺り、普通はもちろん30歳にもなった息子の犯罪の謝罪に付き合わねばならぬ法はありませんが、被害者心情や世間体を考えれば出ていって一緒に謝罪すべきところ、未だに全くその気配もなく。

親と弟が警察官で長男に要らぬプレッシャーを与えたのかとも思います。

前にもブログに書きましたが、私の父方の祖父は子供たちが大学に行こうと家業を継ごうと私の父のように当時は海のものとも山のものとも分からぬような自衛隊に入隊しようと快く許可しました。そういう懐の広さも、大野木亮太容疑者の父親は持ち合わせていなかったのかも知れません。家族の愛情もいかほどだったのか。

優秀な人間が優秀なことをするには日本はとても恵まれています。しかし例えばアメリカンドリームとよく言われている所以は、優秀でない人間が優秀なことをした場合、惜しみない賛辞を贈られる米国社会の側面に関して言えば、これは真にアメリカンドリームと言えます。

私が両方の社会を体験した感想としては、残念ですが日本にはそういう土壌が少ないように思います。敗者や経済的や能力的に平均以下の人間にはあまり優しくないのが日本の社会のように感じます。(ただ、あらゆる面で、という訳でもありませんが)

この大野木一家は息子を放置することで親と弟のキャリアにも傷が付いたようです。自業自得と言えば自業自得。因果応報というやつです。家族を無碍にして自分たちだけうまくいこうなど虫がよすぎです。ましてや警察官ならなおのこと。これがダメな息子、ダメな兄を立ち直らせたらドラマになったものを。社会は最低限の制裁を本人に下しますが、その精神的な苦しみは親と弟さんも受けねばなりません。今まで避けてきたものが雪だるま式に大きくなってしまった、それを受け止めるのは大変でしょうけど。

私はいつも息子に言います。

「お前が人様に取り返しの付かないことをしてしまったら、お前を刺し殺して俺も死ぬ。俺がお前に何か教えたり話すときはそのくらいの覚悟でいつもしていることを忘れないで欲しい。」

子供に何かするとき、何か話すときは全身全霊を以て、細心の注意を払ってして欲しいところです。また、最低でも子供が見ているところでは立ち居振舞、言動も最大限に注意をして欲しいところです。親のほんの小さな事が子供の心に焼き付きます。

教育転じて狂育となるのは親の在り方一つにかかっています。

昨日の延命観音ではありませんが、こういうときこそ、延命観音を拝む方がいいのかもしれません。

平成二十六年如月二十七日

不動庵 碧洲齋