不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

手元に置いておきたい

・・・所有欲が高いわけではありません。

・・・ま、私に娘がいたら、彼氏は身も心も凍り付きそうな恐怖の試練を味わっていただくかも知れません(笑)。ルナチタニウム合金箱入り娘にしてしまいそうなので。(笑)

自分の蓄積してきた情報や知識です。

私の一番古いメモは15歳の時のもの。30年前から警句や箴言、物語、短歌、稽古のノート、過去のブログなどなどをまとめたものや、友人の贈った武道歌や短歌そのたもろもろ、とにかく全部のデータがパソコンに入っています。

何度かのあの大洪水のように全滅の危機に瀕しましたが、生き延びたものもあり。

現在では鉄壁のバックアップを施してあります。YAHOO BOXに入れてあり、自宅と会社のパソコンに同期してあり、しかもどちらのパソコンも外付けHDDでミラーリングされています。大地震があっても全滅の危機はほとんどないでしょう。

それだけに書きためてきたものの価値というかありがたみが薄れていく気が、最近はよくします。高校生からはじめてワープロを買った26歳ぐらいの10年間は手書きのノートでした。その後はワープロに移行してフロッピーディスクへ(うわ~懐かしい、久しぶりにこの単語を打った・笑)。その後はパソコンに移行しましたが、「パソコンが壊れるとデータが全滅する」ということに気付き、紙にも残しておくようになりました。

USBメモリキーが普及してからはこちらにバックアップを取るようになりました。これは便利でしたね。これの容量が日々大きくなり、しかも安くなるのは助かりました。それ以外のメモリーカードも然り。

実はクラウド環境を利用しはじめたのは比較的早く、元々2000年頃にはATOKを使っていたこともあってジャストシステムの新しいサービス、インターネットディスクというものを出た当初から利用していました。今ほど便利ではありませんでしたが、どの端末からも引き出せるというのは驚きでした。今でも220MB程度は保有していますが、現在主流なのはYAHOO BOX。私はプレミア会員なので50GBも使えます。動画や画像を除けば私が蓄積してきたデータ量そのものはほとんどが文字情報なので大きくなく、まだ1/4程度しか使っていません。しばらくはこれでいきたいと思います。

昨年暮れからATOKクラウド式、月払いにしました。なので家と会社のパソコンは全く同じATOK環境です。1ユーザーで10台ぐらいの端末まで使えるそうです。

YAHOOツールバークラウドですね。ブックマークやメールなど、これも場所を問わず同じ環境。

どこかに預けることでどこからでも見ることが出来る。便利ですけど、いつも疑問に感じます。私が蓄積してきたものが水みたいに薄いコンソメスープになりはしないかと憂いています。杞憂かも知れませんが、古の書の変遷を見るにこれでよいのかという疑問は残ります。大昔は例えば日本なら語り部がいて、膨大な量の民族の記憶を覚えていました。文字が輸入されてからは木簡や竹簡に書かれるようになりましたが、あれは定期的にメンテが必要で、しかも書くための準備もこれまた大変です。置き場も大変。薄い文庫本1冊分が、木簡だとリヤカー山盛りになります。だから重要度に応じて記録すべきものを取捨選択したのでしょう。戦乱に遭ったときは悲惨。馬などは貴重でしたから移動なんて論外。人が運べる量も限られる。多分、紙が普及してしばらくは、書かれてあってもなるべく記憶していたのでしょうね。

印刷技術が向上し製本技術が進歩して、現在のように電子技術が発達すると文字情報はもう膨大なものです。有史から20世紀前半までの全情報量よりも、それ以後の60年の方が数十倍、数百倍もデータ量が多いと言われています。それだけ多いと人類の叡智とか真理の言葉が埋もれてしまわないかと心配もします。どうでもよい言葉がネット上に氾濫し、本来伝えられるべき言葉がその上を泡沫のように漂う、そんな構図のような気がしてなりません。

中国では伝統的に滅んだ王朝の歴史を次の王朝が書くことになっています。概ね次の王朝が成り立って30年とか半世紀とか、そんな感じで。最新の「清史」は後数年かかるそうですが、歴代の王朝史と違うのは写真あり、動画あり、フルカラー資料ありの豪華版になる予定です・・・が、作っているのは中国共産党と言うことでヨロシク(苦笑)。まあ、ただこういうものを作るのが王朝が交替してから一定時期が過ぎて、みんなが冷静になった頃合いというのがさすが歴史を記録するプロっぽい中国。個人的には「中華人民共和国史」がどんなものになるか、そちらも楽しみですな。

データが増えて、自分の手元でないところに保存されているという事実、よくよく考えて今ひとつ、文字で伝える重要さを噛みしめたいところです。

平成二十六年如月二十日

不動庵 碧洲齋