昨夜は我が家に中国人のお客様をお招きしました。
弊社の中国工場幹部の女性社員です。
日本語はかなり流ちょうで本社と中国工場とのやり取りなどもしていることから、ほとんど毎日、メールや電話でやり取りしています。
とはいえ彼女が日本に来るのは10年振りです。
来日に当って、友人たちからものすごい量の買い物を頼まれ、東京中をあちこち走り回っていました。女性仲間からの頼まれ事が多いらしく、化粧品とかが多かったようです。日本だったら何でもないものですが、中国では非常に重宝されるもののようです。
帰路に刺身を買って帰りました。
帰宅すると妻と息子が出迎え(たまたまノラのランちゃんとオーくんもいた)、掃除しきれなかったところもきれいにやってくれていました。有難い。
最初は妻がお茶の点前を披露してくれ、夕食の準備が出来るまで和室で色々話しました。
最初は私の25年来の蔵書、中国諸子百家と兵法書など。彼女自身、見たこともない思想家もいたようですが、そもそも中国では書籍の出版も政府の意向で出されないものもあったりします。
色々話しました。政治のこと、宗教のこと、歴史のこと。親しくなった海外の友人とはそういう話しもします。
日中の関係がよくない今ですが、一番ウンザリさせられるのは中国人とサシで話し事がない人に限って攻撃的、エセ愛国的であること。ネット上では「コイツは普通の外国人とすら話したことないんだろうな」という連中が息巻いていることしばしば。
日本ではネットがこれだけ自由に見られるのに、見ている本人の視力が悪い(頭も悪い)人が多く、何のための自由に知る権利なのかと思います。
彼女は言ってました。中国で真面目に働いている人はそもそも反日暴動になんか参加するひまなんてないし、そもそも日本に恨みがあるわけでもない。
軍人や警察、ひまな学生を除いて一番過激なのは、これは中国政府もマークしている「反政府勢力・不満分子」。彼らは旗に「反日」こそ掲げてますが、実はそんなことはどうでもよく、今の中国政府に不満を持って、暴れているわけです。中国政府はプロパガンダのためにそれを利用する、不満分子は反日のレッテルを一応掲げ、その方向から決して外れない、その取り決めで動いています。
全部の中国人が反日ではないとは言いきれませんが、テレビやネットで観ているほどには反日ではありません。繰り返しますが、中国人の多くは日々を生き抜くのに、我々日本人以上に難題が山積してとても忙しいのです。
そもそも日本に対して恨みがあるほどなら、共産党政権に対してはその数十倍も恨みを持っている、と言っていました。
日々、ネットで何かを検索しようにも、あちこちで壁にぶつかるストレスはまともな中国人ならいい加減ウンザリさせられるし、政府に陳情したくともコネがなければ言えないし、そもそも言ってもほとんど意味がない。
だから海外で中国人がどんな風に見られているのか、ネット上でも正確には伝わってこないので不安になるも、巷に流れている風説がどれだけ正しいのか、それすら政府の息がかかっているかも知れないので信用ならず。
13億人もいるのに訳が分からない「人民代表」が2000人、2年に一度集まることに一体全体どれほど意味があるのか全く理解しがたいとのこと。これは彼女だけではなく、多くの中国人がそう感じているとのことでした。
知識階層というか底辺でない人からするとそれはもう大きなストレスです。
彼女には3歳のお子さんがいますが、環境汚染が頻発して気が変になりそうだとか。
先日、弊社から家族に子供がいる社員のために日本製の空気清浄機を10何台か送り出しました。彼女曰く、PM2.5対応の空気清浄機は世界でもほとんどが日本製なのだそうです。
こういう中国人の苦しみも知って欲しいところですが、こういうことがありながら中国軍が日本を攻撃してきたら日本にいる中国人ウン十万人が決起して反乱・暴動を起こして日本社会を混乱に陥れると真面目に語る人にはどう答えたら良いのか、少々困ります。愛国者はその前に帰国します。見捨ててよい人は残ります。日本が良いのか中国が良いのか、在住の方々にはよく分かるはずです。
日本は米国にはならないと思いたいところです。日系人強制収容所ではまさに「反乱を起こすかもしれない日本人を強制的に収容する」施設でしたが、一体全体どれだけが反乱を起こそうとしていたのか。中国人はそれほどには真面目でないにしても、中国政府に義理立てするほど忠実だとも思えません。まあ、少しは暴れる人もいるでしょうが、大半の日本人には直截的に被害が出ないように、在住、長期滞在の中国人にも被害を及ぼさないことを願います。70年前の米国人種差別精神を以て計るべからず、です。(ま、でも厳正には対処しましょう。やはり何かされたら怖いですから)
中国人社員の方から素敵なプレゼントを二つほど頂きました。
一つは妻宛に竹製の小物入れ。中国製、と言うと大抵は貧相でエエ加減な手芸品ですが、これはものすごい重厚な造りでした。竹の加工や処理、仕上げが半端ない。前に持っていた二胡並の美しさ。滅多に他人からのプレゼントに感銘を受けない妻が非常に気に入ったぐらいですからかなりのものです。多分、国家芸能士とかいう資格を持った人が作ったのでしょう。中国には非常に希ですが、ホンモノを作る人もまだいるのです。
小物入れの外側、蓮の花です。
中はこんな感じ。非常に美しい表面処理が施されています。
もう一つは「鉄観音」お茶です。入れ物が高級そうでした。これまた竹をきれいに加工した箱でしたが、箱そのものもとてもよいデザインです。1回分ずつが真空パックになっていました。彼女が帰宅後に袋を一つ開けて飲んでみましたが、多分これはかなり高級品です。うまかった。たくさん入っていたので今日は幾つか会社に持って来て、何人かにお裾分けしようと思います。
鉄観音の箱、これだけでも高級品です。箱も竹製です。
中はこのように1回ずつ分が真空パックに入っています。非常においしいお茶でした。
食後は食卓で妻も交えて色々話しましたが、久しぶりの来日と言うことで色々買い物を頼まれた異変だとか、彼女の家族についてとか、いろいろ話しに花が咲きました。
戦争は大抵、お互いに政府が都合よいように偏向させた情報に基づき、民衆が扇動されてしまうことが多くあります。もちろん政府が正しく、そしてそれを選んだ民衆が正しいこともありますが、完全に正義であったことなどほとんどないでしょう。米国だってテレビのスーパーヒーロー気取りでいますが、原爆2発を落として、日本やドイツの名だたる大都市を大爆撃して、よく涼しい顔で正義面をしていられるのかと、私などはいまだにその厚顔無恥さに呆れることがあります。日本人のように恥を知らないんですね。
つまり草の根レベルでの交流を増やし、徳ある国の国民が徳の薄い国の国民を教化する努力をしてなお、いかんともしがたい場合に干戈を交えた場合、これは中国兵法に曰く「義兵」となるわけです。マスゴミの偏向報道に惑わされて息巻いているようでは全然ダメです。相手の悪いところの本質を突き、何がどう、なぜ偏向されているのか、そういう事を賢察する能力が必要です。
私は中国人の肩を持つつもりはありませんが、戦争はしたくありません。子供や後の世代に誇れないからです。戦争期間の数倍する(数十倍の国もありますが)時間、雪解けに時間がかかるものです。
歓談中に私は言いました。
「日本人が一番、腹が立ち、怒りに感じているのが、1000年もの昔に多くの優れた日本人たちが命を賭けて中国に渡り、多くのものを持ち帰ってきましたが、私たち日本人の命を賭けるに十分値する中国人が愚かであることは許されません。それは私たちにとって絶対あってはならないことだと思っているのです。日本では中国史を知らない人でも三国志を始め、中国の知恵を今なお利用して、若い世代に至るまでその知恵に感銘を受けています。だから師が優れていないことは私たちには信じがたく、それが合った場合はどれだけ大きな喪失感、裏切られた怒りに変わることか、それを良く知って欲しいと思います。」
彼女はその言葉をよく噛みしめていたようです。学んできた相手が実は優れていなかった、落ちぶれたというのは日本人には多分許しがたい、という感情はたぶんあると私は思います。
まあ、そんな話をしたのですが、今少し中国という国をよく見て、今後の付き合い方や、批判するにも批判の仕方などもよく考えて頂けたらと思います。
平成二十六年如月十七日
不動庵 碧洲齋