不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

野蛮一族、やっぱり野蛮だった(苦笑)

名のある格闘技団体の代表が組織ぐるみでオレオレ詐欺?いやいや驚かされました。

一選手がなにがしか悪さをしたのとは違いますよね?

例えば末寺の住職が偽祈祷で信者から金を巻き上げた、というものではなく、大本山の管長猊下が立派な法話の裏で寺の雲水らと共謀して大規模な投資詐欺をしているようなものです。

彼が自分の組織「野蛮一族」に書いた挨拶文があります。

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野蛮一族代表の吉田武生です。人生は勝負の連続です。子供も大人も様々な勝負があります。当然それに勝ち続けるのは簡単なことではないし、時には敗けて悔しい思いをすることもあります。しかし、挑戦しない者、全力で挑まない者は絶対に真の勝者にはなれません。リング上の戦いは人生の勝負のほんの一部に過ぎませんが、格闘技を通して挑戦する勇気、勝負の厳しさ、勝利の喜びを感じることが出来れば、それは非常に価値のある事だと思います。格闘技は数ある勝負の方法の中で殴り合いにより勝敗を決めるスポーツです。そして野蛮一族の連中はこの結果が解りやすく単純な勝負方法が大好きです。大人になっても、挑戦する気持ちと場所大事にしたいと皆思っています。何かを失うのは確かに怖いことです。でも挑戦した者だけが得られる感覚があります。野蛮一族には3つの約束があります。「出されたモノは全て食べろ」、「借りたものは必ず返せ」、「欲しいものを我慢するな」。何にでも勇敢に挑戦し、人に借りを作らず、最後に結果を出す。それが野蛮一族の精神です。それぞれが野蛮一族そして格闘技を通じて、人生における一つのキッカケを掴むことが出来れば良いと思っています。これからも野蛮一族を宜しくお願いします。

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確かに書いてあることは立派ですが・・・

彼はもっとも難敵であるもう一人の自分自身に勝てなかったってことですね。

・・・というありきたりの話しではありません。

オレオレ詐欺グループと結託して2千万円という大金をせしめ、しかもまだ余罪があるという。これはもう「もう一人の自分自身に勝てなかった」というレベルではなく、明らかに計画的で悪質な犯罪です。もしかして彼は組織が火の車だったので、やむなくやったのかも知れませんが、それでも犯罪です。真面目にリングで戦っていた選手たちが可愛そうです。「野蛮一族」文字通りの野蛮な族長でした。

一歩譲って(格闘技家なら一歩も譲ってはなりませんが)フラフラと色香に迷ったとか、酒の勢いで事件を起こしたとか、はずみで盗んだとか、それなら一定の理解はします。裁判所でもそういう刑事事件は多少寛大な裁きを下します。

「欲しいものを我慢するな」それはそうですが、社会通念や法律を無視してまで欲しいものがあったら、それはたぶんまやかしです。

そもそも格闘技はもとより武道でメシを喰うということ自体、平和な平成の世といわず、江戸時代以後ナンセンスです。武芸が世に必要とされている専門職であったのは遥か江戸の昔。現代に於いては基本、趣味の世界プラスアルファ以上ではありません。これで食べていける方ももちろんいますが、趣味や生きがいで食べていける幸せな人はごくごく一部であるという認識を持つべきです。こういうもので多くの武道家たちが飯を食えたらこれはある意味不幸です。ちなみに厳しいことを言えば江戸時代ですら侍が武芸で喰って行くにはかなり苦しいものがありました。今より多かったとしても、やはり副業を持っていた人は現代と同じくかなり多かったはずです。士分であることをいいことに、ゆすりたかりをした侍もいます。

現代ではよほど大きな組織の宗家とか代表、格闘技ならかなりランクが高いごく一部の選手だけがその道だけで食って行けていると思います。そうでないのにいくつかの道場の運営だけで生活している人も若干見受けられますが、単刀直入に言うと私はあまり感心しません。大局的に観れば日本は今、労働人口が減っています。なくてもよいことで食べていくなら、ちゃんと多くの税金を払える仕事をして、なにがしかの、できたらより多くの税金を払うべきです。税を納めることは決して愉快なことではありませんが、国力を維持したり、現代で社会生活を営む限りは武道で飯を食うよりはより直截的です。

同じような理由で私は専業主婦というポジションが好きではありません。家庭の事情でやむなく働けない場合は別として、働けるのに家事だけをするのもやはり労働人口を減らす要因です。そもそも専業主婦などというものは海外でも少ない。私の両親も共働きでした。父は某有名映画会社に勤めていて、母が働く必要性は全くなかったのですが、母は仕事をすることで社会貢献をすることは人として当たり前だと言っていました。私もそういう考えです。ちなみに母は家事も完璧にこなし、趣味では社交ダンス1級インストラクターの資格まで取りました。華道師範の免許も持っています。

話がやや逸れました。

格闘技団体代表が、大々的に組織だって計画的犯罪を犯すなど言語道断。選手にはそういう人はいなかったと信じたいところ。選手たちは早く他に身を移して、気兼ねなく試合をしてもらいたいところです。

ネット上に何かものを書くというのはある意味世間様に意思表示をするようなものです。書いた以上は守らねばなりません。一歩譲って努力目標だと思います。私はいつもそのように考えて(あ、時々忘れているな・苦笑)したためています。

平成二十六年睦月九日

不動庵 碧洲齋