不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

深まる

昨日は舎人ライナーだけを使って座禅会に行きました。

家を出たのは15時半頃でしたが、丁度その頃から風が強くなってきて気持ちが萎えましたが、一度重大なことを決めると変えない主義なので、2.2キロ先の舎人ライナー終着駅である見沼代親水公園駅まで歩き。作務衣の上に薄いマフラーを羽織っているだけだからかなり寒い。でも作務衣の上にジャンパーなどを羽織ると格好が悪いので着ない。その辺りにはこだわりがあります(笑)。

最近は1日10000歩にも拘っているので、如何にそれをクリアするかにかかっています。ざっくりと3キロ以下は全部徒歩にすると概ねクリアできるので、歩いています。

しかし歩くと体が温まる上に、薄いフェルトのマフラーでさえも有難く感じます。冬の坐禅会でも障子が一枚、内と外を隔てているだけでも有難く感じるのと同じです。

駅には人もまばらでした。舎人ライナーに乗ると、先頭の席に座り寝ました。さすがに寒いところから暖かいところに入ると眠くなる。

西日暮里駅では十分時間を取っていたのでコーヒーショップにでもと思いましたが、思いの外近くのドトールが小さかったのので隣のマックで珈琲とアップルパイ。珈琲はMにしましたが、坐禅前にMはちょっと大きかった。今度はSにしよう。30分近く時間を潰してから出立。西日暮里駅からは初めてでしたが、同じく2キロ少々なので思いの外近い。今まで山手線に乗り換えていたのが馬鹿馬鹿しくなる程度でした。

寺に着くと当然一番乗り。私は朝の坐禅会でもここでも極力一番乗りを心掛けています。坐る場所はこの寺では老師の前。昨日はいつも以上に集中できました。最近は眠さとか疲れを突き抜けるようなことがよくあります。突き抜けるという表現が正しいのかどうか分かりませんけど、とりあえず疲れや眠気がなくなります。

提唱を終え、1次茶礼の後に2次茶礼。2次ではより砕けた話になるので、修行について質問しました。話すと長くなるので省略。

老師から有難いお言葉を頂きました。さらりと、「巡警をしているとよく分かりますが、5年前に比べると禅定の深さがぐっと深まっている人が何人かいます。その人たちは入室などでも正しい方向を向いているので、これからどんどん進んでもらえればと思います。」とおっしゃっていましたが、その場にいた人の中で5年以上通っている人は私しかいませんので、私のことだったのでしょう。内心叫び声を上げたい心境でした。

しかし同時に「多分、その人たちは自分ではほとんど境涯が深まったという実感は薄いと思います。でもそれでいいのです。実感できない、相対的に比べられないままに深くなっていく、その深みにある日気付けばよいと思います。」とおっしゃっていました。

確かにそうです。フェイスブックのグループやブログにも時折禅について書いてきましたが、不思議と昔と比べて変化を認めても、どうしても実感できません。書いてあることに昔と今では格差があるのは間違いないのですが、書いた本人がそれを体感として実感できないので不思議に感じます。禅に体感を求めてはいけないと言うことなのでしょうか。実はよく分かりません。

ただ、師が確かに進んでいると評しているなら、きっとそうなのだと思います。それを信じてこれからも精進したいところです。

こういうのも何ですが、師は相当修行をされた方です。本人が望めば相当大きな大寺院の住職にもなれるのですが、一般の邸宅かどうか分からぬような、都内の小さな寺院の住職を好んでしています。相当に凄い人だといつも感心します。師の師、鎌倉でも相当有名な大寺院の管長ですが、もっと大きな寺の住職をせよと厳命されているようなのですが、本人は言を左右に肯いません。後輩や先輩でも他派大本山の管長をしている方もいるほどです。自分の修行に対する姿勢には掛け値なしで尊敬できます。

本当に時が来たら、あるいは地方の大寺院に移らねばならない時が来るかも知れません。そうして欲しいと思うところもあります。そういう姿勢は私の生き方にも大きく影響しています。殊師の逢見に関しては私は抜群に恵まれていると思います。(そういうことで他に不遇なことがたくさんしわ寄せているところもありますが・苦笑)しかしそれは私が10代の頃にある意味見定めた生き方であったはずです。だから今、それに感謝して、師事しています。また、そのことから今現在、この神の時機とも言える千載一遇のチャンスを骨までしゃぶり尽すように修行をして、得られるものは全部得たいと思います。

帰路も寺から駅まで2キロちょっと、終点駅から自宅までやはり2キロ少々でしたが、特に帰路は寒さとか辛さとかは全くありませんでした。文字通り燃えていたように感じます。今年は燃えるような1年になりそうな気がします。

平成二十六年睦月二十七日

不動庵 碧洲齋