不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

必須と便利と贅沢と

世は経済不況のあおりを受けて藁をもつかみたいという風潮が長年続いていますが、翻ってみれば日本よりもひどいところはいくらでもあります。そもそも日本の経済不況など笑っちゃうぐらいのレベルです。

物作りでのし上がってきたのが、それ以外でのし上がらねばならない、一つ高次のレベルに達したのですが、世はこれをハードランディングとか落ちる方向で呼んでいます(苦笑)。いつまで経っても農業国・・・というのはあるのかも知れませんが、いつまで経っても工業国とか商業国というのは歴史的にはあまりありません。祇園精舎の鐘の声諸行無常の響きあり、です。世界のマネーなどは浮気癖のある若い女のようなもので、世界中を渡り歩いています。お子様の時やジイサンの時は見向きもされず、若くて威勢のいいときにしかこっちを向いてくれない、経済とはそんなものだと思っています。

私的に世の中にはモノをざっくりと三つに分けています。

レベル1/必須なモノ:ないと日常生活に支障が出るもの。

レベル2/便利なモノ:あれば時間や労力を大幅に短縮できるもの。

レベル3/贅沢なモノ:欲求を満たすだけの、実生活には支障がないもの。

世に絶望して自殺や無理心中した人たちは一体、どんなレベルのモノが手に入らずにそうしてしまったのでしょうか。レベル1だったのかどうか。昨今の日本を見ていると、贅沢ができなくなる(これが人として最低限文化的な生活と勘違いしている)、便利な生活ができなくなる(これはちょっと考えにくい)というレベルが多いような気がします。世界には失業率が2割3割当たり前という国(先進国と呼ばれる国でも!)が多くあります。中堅国ではその数字は珍しくなく、発展途上国にあってはこのくらいの数字なら恵まれているとすら言えます。

戦前戦中と戦後間もない生まれの人はたぶん、そのひもじさをよく知っていると思います。そういう人たちからすると今の日本のひ弱なこと。私は高度経済成長期も絶好調の頃に成長しましたが、歴史が好きだったおかげである程度、そういうことが理解できます。

我が家で愛用していた自動食器洗浄機がとうとう壊れてしまったようです。9年ほど使用し続けました。今時の家電では普通の寿命でしょうか。1日2回ぐらいは使ったと思います。我が家では一切合切の台所の洗い物と片付けは私がするため、この自動食器洗浄機は大変重宝していました。これがないと1日でたぶんもう1時間以上は余計にかかってしまうと思います。現実に今朝久しぶりに食器を洗いましたが、かなり大変でした。(ちなみに私は朝食も作るので)久しぶりに家事でうろたえました(苦笑)。

短縮した時間はもちろん勉強に充てたり稽古に充てたりしています。時間は黄金より貴重であることは理解しています。故に私にとって自動食器洗浄機は必需品ではなくとも決して贅沢品ではなく、必要で便利なモノであると判定しています。

冬のボーナス頃に買いたいと思うのですが、家族の理解が得られるかどうか。今回はさすがに多少強硬手段に訴えても買い換えたいと思う程度の家電です(笑)。これがないと私の希少な勉強時間や稽古時間が大幅に削られる恐れがありますので、自宅では万事ほとんど何も主張をしない私もさすがに今回だけは引けません。

関連して、会社でも週末に電話システムの総入れ替えを行いました。今まで液晶は壊れていて端子の接続状態がよろしくない端末を使っていたのですが、今回は電話が新しくなり、広い工場で捕まえやすくするため、何人かにはコードレスを持たせています。これは非常に助かります。これも便利なモノですが、仕事なので優先順位は高いですよね。

平成二十五年神無月二十八日

不動庵 碧洲齋