飯山城と小菅神社と馬曲温泉と
それから少し遠回りして市街地を通ってから車まで戻りましたが、開店していた飲食店の少ないこと。恐ろしく寂れた感じでした(苦笑)。それならばと車で市役所もある飯山城まで向かいましたが、城跡公園の中のカフェは満席・・・おいおい・・・。偶然、女子中学生4人、カフェ隣の公園のブランコで遊んでました。ただのブランコを楽しそうに動かしているんだぜ。この素朴さというか純粋さにこの碧洲齋、痛く感銘した。そこで呼び止めました。「近所でどこか美味しい料理を出している店を教えて欲しい。それと市街地に全くコンビニを見かけないんだけど・・・」人気の店は正受庵の更に向こうにあるそば屋、コンビニはその途中にあるとのこと。コンビニは市街地には1.2カ所しかなかった。
そば屋「しおいり」は比較的簡単に見つかり、ダブルざるそばにしましたが、確かにうまかった。私以後、空席がなくて待たされていたお客さんもいたほどに繁盛してましたが、考えようによっては開店している飲食店がなかったからじゃないのかと勘ぐりたくもなりました。店の子供でしょうか、中学生と高校生ぐらいの女の子も手伝っていました。こういう田舎の子供は都会の子供みたいにすれてなくてよいですね。
本丸から二の丸の出口跡
本丸跡に立つ葵神社
食べ終わってからコンビニで買い物をして再度城跡に。今度は見物です。城内の至る所に石垣が残っており、本丸跡には葵神社があります。城郭内は比較的樹木も少なく見通しもよいのですが、堀跡や城郭の外側は普通に樹木が生い茂っています。当然ながら小高い丘を整えて作った城だけあって360度視界がよく、城下町も一望できます。切り立った南側の下を覗くと・・・幕府軍VS新政府軍の如き熱い戦いが繰り広げられていた・・・わけではなく、若いカップルが熱い愛を交し合っていました。二人は人もほとんど来ないとは言え、周囲を気にしながら二人だけの時間を楽しんでいたのはよいとして、まさか真上から見られていると気付かぬとは何とも間抜け。彼らがいると城の周囲をぐるりと回れぬではないかと思いつつ、時間もなかったので、スタスタと下に降りて周囲をぐるりと。幸いカップルの姿はありませんでした。城の反対側に回ると、高校とおぼしき建物とグラウンドに面していて、サッカー部でしょうか、数人、練習してました。あ、いたいた。さっきのカップルはどうやらサッカー部の女子マネージャーと部員の一人だったようです。勇気あるな、部活中に城の反対側を隔てて逢い引きするとは。若いっていいものだ(爆)。この飯山城、元々若かりし頃の慧端禅師や出家前の宗覚さんがお勤めしていたところでもあります。実は城から正受庵は直線にすると結構近いのですが、そもそも城下町が小さいのか、正受庵の辺りは昔は僻地だったとか。ちなみに今は1年半後に開通する新幹線の駅が近くにあり、今後はどんどん開発されてしまうことでしょう。
車に戻り、次の目的地、小菅神社へ。
市街地から北東方面に向かいますが、非常に景色がよかった。信州特有の雄大な景色でした。小菅神社は出立前にミクトモさんから教えてもらった神社なのですが、調べてみるとこれまたなかなか由緒ある神社でした。かつては修験道の主要な修行の場だったとか。主要道路を逸れてからは結構傾斜のある舗装道路を一路東に。結構長い直線道路でしたが、多分これは参道だったのでしょう。筑波神社以上に長い参道に驚きました。祭りがあるためか、色々準備が始まってはいましたが、とりあえず舗装道路がある内で一番神社の入口に近そうな駐車場に車を止めました。
財布と携帯の他、カメラだけ持って鳥居をくぐると両脇に杉の木がズラーーーッと植えられている傾斜もありそうな、果てが見えない程長ーーーい参道。鳥居をくぐってすぐ右には護摩堂があり、既に結構な人だかり。一応中を覗いてみると行者様が護摩を始める準備をしていました。これが終わってから奥社に参拝に行くのでしょう。ならば先に行ってしまおうと、参道に戻り一路奥社を目指しましましたが・・・。実はとんでもなく遠かった(笑)。後で知った事実ですが、鳥居から奥社まで1.3キロ、私の車があるところからだと1.5キロ。しかも山道。往復3キロの山道と言えばちょっとした登山です。案内図にはゆっくり歩いて片道1時間だとか。確かに調べたとき、普通の神社よりは距離があるなぁ・・・とは思っていましたが、ナメてました。1キロ近く来たところで止めようかと思いましたが、せっかく来たのだからと思い直しそのまま進みました。途中から険しくなってきましたが、シャツを絞ると汗が出てくる程度汗をかいた頃に到着。道中はほとんど人と会いませんでした。確かに熊でも出てきたらアウトっぽいです。とはいえ登山は苦手でもなく、概ね30分弱で到着しました。う~ん、ちと例を見ない神社の造りでした。室町時代の古い建物だそうです。普通、中には入れないのですが、祭りの時期だけは中に入れるとか。私も参拝した後に中に入れさせて頂きました。神殿の近くの湧水が冷たくて美味しかったのなんのって。帰路は半分小走りで下りました。特に後半の直線コースになってからはバランスさえ保てば走っても苦にならず。往路すれ違った参拝客に、本当に上まで行ったのかどうか聞かれました(苦笑)。なにせ手ぶらで普通のアウトドア用革靴ですから。参道をタタタと駆け下りているときに、護摩堂から上り始めた参拝客から「わ~忍者みたい」との声が何度も、ハイハイ(苦笑)。早く降りてきた理由は雨が降りそうだったから。何せ手ぶらでしたから。事実、車のところにたどり着くとまずまず降ってきました。こういうことを察知できる能力も重要ですね。それにしても今度はちゃんと装備して、もっとゆっくり上ってみたいところです。結局往復1時間程度でしたが、言うまでもなくクタクタになりました。実は昨日まで足の裏が痛かった。
その日の宿泊先は馬曲温泉(まぐせおんせん、と読む)。マイナーな場所ですが、見晴らしが良さそうだと言うことで決めました。宿は素泊まりだけですが、見晴らしがよい。温泉施設は別になっていて、手荷物を持っていざ温泉に。温泉施設とレストランがあり、残念なことに内風呂と露天風呂が繋がってないこと。まあとにかく入りたかったので関係なし。受付のお姉さんが色白で美人だった。ミス馬曲温泉とか?田舎の温泉郷の受付嬢って感じではなかったですね。つい口が滑って「温泉美人お勧めの料理は何でしょうか」と真顔で尋ねてしまいました。一人旅の碧洲齋はかなり饒舌になります(笑)。露天風呂は絶景でした。素晴らしい。くたくたに疲れていたのでなおよかった。私はあまり長湯はしない方なのですが、さすがにその日は30分は漬かっていました。出てからはもちろんソフトクリーム。一旦宿に戻り、ちょっとゴロゴロしたり書き物をしたり、翌日のプランを練ったりして、19時過ぎにまた温泉へ。今度は内風呂にしました。内風呂は少々熱かった。しかしとてもよい檜風呂でした。さっぱりしたところで食事。温泉美人お勧めのそばの定食が売り切れだったのでやむなく天ぷらの定食、しかしうまかったです。食堂の窓の外の景色もよかった。食後は食堂の外側で涼んでから宿に戻りました。
翌朝は朝一番で露天風呂に。何故かというと写真撮影をしたかったから(笑)。おかげさまでいいのが撮れました。それからゆるりと出立の準備をして宿を出る。途中給油をしてからもう一度正受庵に。今回は正受庵前に車を止めました。ナメ尽すように見て回り、最後に正受老人のお墓の前に座り込み、しばらく瞑目。正受老人のお墓の前には坐るのに丁度よい石があります。色々思うところ是あり。非常に充実の旅でした。帰路は一旦北上して関越自動車道に入りました。多分、軽井沢辺りで大混雑すると思ったので。また、違う道を行くのは楽しいことです。渋滞の悪名高い関越自動車道ですが、やや混んでいたという程度で恐ろしくスムーズに進み、結局自宅に着いたのは13時過ぎでした。
久しぶりの一人旅を快く(?)許可してくれた家族に深く感謝。他にも書くと長くなりますが、思うところ色々ありました。
平成二十五年文月十七日
不動庵 碧洲齋