不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

名前

私はかれこれ10年以上、個人用名刺を使っています。

最初に使うようになったきっかけは当流の海外門下生との交流から。

1、2年に1回ぐらいの割合で海外からやってくる門下生が何人もいて仲良くなっても、これがなかなか交流し続けることが難しいものがありました。稽古前後の限られた時間で大勢の人と交流するとなると、メールアドレスや住所を交換するのが難しい。

そんなときに海外の同門がよく使っていたのが名刺。もちろん個人用なので色々凝ったデザインでしたが、なるほどと思ったものです。

以後、財布や手帳などに何枚か入れておき、さっと渡せるようにしています。交流以外にも、初めて日本に来て、何かと困っている同門に緊急連絡先などとしても使って頂いています。

名刺は片面が日本語、片面が英語になっています。前は住所も記載していましたが、あまり必要性がないので削除しました。携帯の番号と携帯とPCのメールアドレス、HPのURLだけです。特に今はフェイスブックを活用しているので、極端な話し、名前だけでも大丈夫です。本当に便利な世の中になりました。

表記方法はファミリーネームを大文字で表記して、カンマを付けてファーストネーム。外国人は逆ですが、日本ではそうではありません。長いこと日本人も欧米人に倣って逆にしていましたが、最近は私のようなスタイルが増えてきているようです。ちなみに会社で輸出書類などでも表記方法は上記のようにしています。

名前の表記に関して、私は二つの別名を持っています。あ、決して怪しいものじゃありませんのでご安心ください。一つはいわゆるイングリッシュネームと呼ばれるもの。留学する少し前に名付けられました。ものすごく強面の米軍特殊部隊の同門が私をつま先から頭のてっぺんまで見ると、「うん、お前はブルースリーに似ている。だから俺はお前をブルースと呼ぶことにする。」彼はいつも目が笑っていなかったので、冗談だったのか本気だったのか分かりかねましたが、その後、彼は私をブルースと呼んだので、そのうち何となく気に入ってきて、20年ぐらい前から正式採用?しました。故に20年前から私はブルースなのです。イングリッシュネームは日本ではあまり一般的ではありません。中国人だとかなりの割合で持ってますね。この辺り、日本人の文化や伝統に対する自信の程が現れているように思います。一時期、頻繁にブルースで呼ばれましたが、重歳すると共にまた、本名で呼ばれるようになってきました。敬意を以てそう呼んでくれているように思います。

もう片面は日本語ですので、漢字で名前が書かれていて、その下に私の庵号と雅号、不動庵 碧洲齋 と記されています。碧洲齋は最初の数ヶ月は「碧洲」だけでした。「碧洲」は「ブルー(碧)ス(洲)」から来ています。元々は時代祭関係の仲間同士で用いる和式ハンドルネームから来ました。そのうち隠居した武道家がよく使うナントカ齋に倣って「碧洲齋」になりました。一応意味もあります。義士が死ぬと、3年後に墓から碧い血が流れるという中国の伝説から来ています。洲は国の意味。

不動庵は私の生まれ年の守護仏が不動明王、修行者の守護者でもあり、武芸者の中でも人気があります。初めて禅の手ほどきを受けたのも不動寺という寺でした。そんなことから不動明王の庵、不動庵と名付けました。これは元々HPの名前でもありました。今では我が道場の名前でもあります。

不動庵 碧洲齋はかれこれ10年、名乗っています。息子の歳と同じです。

本名と庵号雅号、英名の三つを色々使い分けていますが、幾つかの名前を持つことは昔はよくありました。私もこれらの名前にはなかなか愛着があるので長く使って参りたいと思います。

平成二十五年皐月十六日

不動庵 碧洲齋