不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

家族旅行 クロスカントリースキー

金曜日と土曜日は家族でクロスカントリースキーに行ってきました。

行き先は長野県にある美ヶ原高原。

朝6時に家を出立、新宿駅7時半発のあずさ号に乗り、一路下諏訪駅まで。

鉄道の旅はいいものです。

私はどちらかというと自動車派ですが、鉄道の良さは心を100パーセント思索に耽ることができるからです。

自動車だとそうも行かない。今回の旅では鉄道の良さを十分に楽しみました。

幸か不幸かうちは3人家族なので、こういう時は息子と妻が同じ席で私は一人で座ります。

静かにもの思いに耽ることができるわけです。

少々驚いたのが普通のビジネスマンが結構乗っていたこと。新宿駅から乗り込むと、みんなノートパソコンを開き何か仕事をしつつ、山梨県辺りの駅で降りていきます。あとで知りましたが、この辺りは色々な工業も盛んなのだとか。大手メーカーはもちろん、有名な中小企業も名を連ねていました。勉強不足でした。

往路、大月駅の辺りで「岩殿城跡」という大きな看板が見えました。

ものすごい峻険な感じの城。

あとで調べてみましたが、やはり武田氏配下の(色々複雑な事情があるようですが)城のようでした。こちらもちょっと興味があるところです。

下諏訪駅に着くと、降雪こそなかったものの、辺り一面雪。プラットホームも雪。しかも完全パウダースノー状態。

もちろん、東京よりはずっと寒いです。

駅から美ヶ原高原までは送迎車で1時間少々。駅にはすでに大型ワンボックスが来ていました。

同乗者は同じツアーの客合計7名。家族で参加していたのは私たちだけで、あとは高齢者で単独でした。

金曜日なのでそんなものでしょう。

出発すると途中までは旧中山道を通りました。本陣や脇本陣が今に残る歴史的な街道沿いは今度、時間があったら行ってみたいと思います。(夏に!)

そこを超えると1200メートルを上がります。

スタッドレスタイヤも時々空回りしますし、道は完全に雪に埋もれています。まあ、それでもドライバーの技量がよいので割にスイスイ上がっていきます。ただし正直、私と息子は完全車酔いになりました。到着があと10分遅れていたらかなりよろしくなかった。妻だけは「私の運転よりは酔わなかった」そうです。(苦笑)

美ヶ原高原は標高2000メートルにあります。当然、やや息苦しい。普通にしていれば何でもありませんが、ちょっと身体を動かすとすぐに胸が苦しくなるような感じでしょうか。

山本小屋というのが泊まるところです。小屋と言っても鉄筋コンクリート造りの立派な建物で、小さめのホテルといった感じです。

あ、携帯がつながりませんでした。部屋に行く途中にドコモの室内アンテナがありましたので、ドコモの携帯は普通につながりましたが、ソフトバンクは全くの圏外でした。

部屋は8畳の和室でしたが、吹雪いているので窓は開けられないし外も見えません。

こたつと石油ファンヒーターがありますが、ファンヒーターを付けてもほとんど暖まらず。

ちなみに小屋の入口にあった温度計はマイナス10℃以下でした。そういうところにスキーに来たのは初めてです。

ややしてから昼食。私はまだ胃の辺りがよろしくなかったので山菜そば。

とりあえず食べないと寒さに負けてしまいます。全部食べきりました。

装備は万全にしてみましたが、こんな気温と天候でスキーをするのは初めてです。何をどうするのか分からなかったので、防寒対策だけは万全にしました。

小屋の前の駐車場に出ると、しびれるほどに寒いです。

少し露出している顔の部分はもちろんのこと、手袋の中や靴のつま先も寒いです。

手袋は二重にするのがよいとのこと。内側に化学繊維系の薄い手袋をしてから防寒手袋がよいそうです。

身体の方はヒートテックを2枚着た上に薄手のトレーナーを2枚着てスキーウェアなので、それほどではありません。

(翌日はヒートテックを更にもう1枚重ね着しましたが)

クロスカントリー用の靴というのは知らなかったのですが、ちょっと見た感じでは普通の登山靴のような感じです。

全く歩くのに適していない普通のスキー靴とは雲泥の差があり、履き心地は非常によいものでした。

スキー板はむろん何度も見たことはありますが、細く、歩くのに適しています。逆に言うと滑りにくいようです。

参加者7人のうち、クロカン経験者は一人だけで、あとは普通のスキーだけだそうです。

外はとりあえず吹雪いています。本当に心底寒いです。

そんな事も言っていられないので、準備運動のあとにスキーを付けて駐車場を行ったり来たりして練習。こつを掴めば確かに楽そうではありますが、可哀想なのは息子。身長は120センチちょっとに170センチのスキー板。短くない代わりにかなり軽いものだとか。確かに軽いものでしたが、やはり長すぎて自由がきかなさそうでした。

それでも寒いのでみんな一生懸命にやります。

有り難かったのは腕や足を頻繁に動かすので、手先足先の冷たさが解消されたと言うことです。これが普通のスキーだったらそうも行かなかったと思います。

慣れた頃に距離にして400メートルぐらい先にある別の建物まで行くことに。一応、雪上ではありますが、下界から小屋まで通っている道の上です。

この場所は稜線上にあり、道の左右には1-2メートルの雪があるのですが、甘かった。一旦吹雪くと動けません。体重の軽い息子は吹き飛ばされそうになります。(下り坂なのに下がらないとか)私も生まれて初めてホワイトアウトという現象を体験しました。ほんの2.3メートル先の人が見えなくなるのです。雪山の恐ろしさを実感しました。

とりあえず息子を見守りつつ殿(しんがり)で無事に戻り、その後も小屋の前で少し練習をしたあとに解散。

スキーよりも寒さにびびりました。

2.3時間後に夕食。

想像していたよりは結構な量です。私は基本残さない主義なので、全部食べきりましたが大変だった。もちろんどれもおいしいものでした。

で、温泉。鉱泉なので、再度暖めたものですが、とりあえず温泉です。この日は私たちのツアー客だけだったので息子と二人で入りました。

その日は早めに寝ました。湯冷めする前に寝た方が賢明だと思ったためです。寝具は普通に毛布と布団でしたがこういうところ専用なのか、非常に暖かく、驚きました。妻はそのあとに風呂に入ったのですが、先に寝ていた私たちに驚いたそうです。21時前には寝ていたと思います。

翌朝、朝食を取ると8時半からクロカン開始。前日よりも簡単に板を装着できます。が、天候はあまりよくなく、道路から高原に上がったところで息子がなかなか前に進めず、妻がインストラクターに話してうちの家族だけは小屋の周辺でクロカンすることにしました。さすがに他の方々に迷惑をかけるわけにはいかなかったので。

とりあえず妻と息子は小屋に戻り仕切り直し。

私はまた下に下りるのがおくうだったので、恐らく夏だと一面の草原なのであろう、雪原を進みました。

少々吹雪いていますから、初めはそろそろと。しかし沈み込んだりしないようだったので、建物が見えるか見えないか辺りまで進みました。多分、3,400メートル程度でしょうか。360度ほぼ雪原や雪に覆われた林しか見えないような風景です。時々吹雪きます。そこに一人、佇みました。

雪原を少し周回しましたが、思うところありました。

遠くにモニュメントがあります。美しの塔と呼ばれるものです。距離にして400メートル程度。夏場なら5分程度でしょうか。しかしちょっと行ってみたくなったので、行ってみました。10分弱程度で着きました。小屋が少し見える程度なので、道に迷うこともありません。これなら家族でも行けそうです。また小屋に戻りましたが、駐車場に下りる前に妻と息子が出てきたのが見えました。で、雪原に上らせ、再度一路美しの塔に向かいました。息子は寒さとスキー板に文句を言っていましたが、息子の偉いところは文句を言っても決してあきらめないところ。鼻水も凍り付く寒さの中、3人は美しの塔を目指しました。今度は当日来たスノーシューのグループが上がってきたので、先に行ってもらい、そのあとから我々3人で歩き始めました。

塔に着くと先着のスノーシューのグループが撮影したりしていましたが、こちらもお願いして家族写真の撮影をお願いしました。

慌ただしくはありましたが寒いと言うこともあり、グループは更に奥に行きましたが、我々はすぐに帰路につきました。が、小屋に着く寸前、息子が「鐘をつきたかったのに!」と泣き出しました。確かに美しの塔の内部には鐘があり、スノーシューのグループの何人かは鐘を鳴らしていました。、しかしこちらは鳴らすとしたらスキー板を外さなくてはなりませんでしたし、脱着が一苦労だったので記念撮影をするやいなや、そのまま引き返してきました。しかし息子はどうしても鐘を鳴らしたかったようでした。また吹雪いては来ましたが、息子は行くと行ったので、再度、目指しました。息子は一旦決めるとこれがなかなか堅忍不抜でやり遂げること。泣き泣き(本当に泣いてました)愚痴を言いつつも、ちゃんと再度到着、今度は念願の鐘を鳴らすことができました。これはちょっと感心しましたね。

そして今度はやっと帰路につきました。写真を撮りつつ戻りましたが、息子の疲労というか寒さが限界のようで、小屋に着くと手や耳のしもやけに苦労したようでした。手は何とかなりましたが、右耳がしもやけになっていて、ちょっと可哀想です。

結局私は美しの塔を3往復もしたので、結構な運動量でした。家族で小屋に戻った頃にはグループが丁度戻ってきました。

その後、温泉に入って出立の準備。温泉はまさに極楽でした。また、昨夜と違い温泉の窓から外の景色がよく見えました。昼食を取ったあとに出立。車内では爆睡。駅に着く頃にはすっかり回復しました。

復路は土曜日の上りとあって空いていました。あいにくトラブルで新宿駅の到着が30分程度遅れましたが、なかなか経験値の上がった旅行でした。

息子にも非常によい経験だったと思います。

道中に想ったことなどはまた別に。

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美しの塔にて

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わずかな晴れ間

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雪原を進む息子。

平成二十五年正月二十七日

不動庵 碧洲齋