不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

画面と現実は違うのだ

今日は中国人研修生を連れて足立区の花火大会に行ってきました。

15時過ぎに迎えに行き、自宅でしばし雑談。

床の間の教育勅語の掛け軸に感心していたようでした。

また、同じく床の間の甲冑にも感動していました。

日本語が話せるL君、結構よく日本語が使えます。

「恐妻家」

よくそんなツマラヌ単語まで知っておるな(笑)。

政治の話し、経済の話しについてもきわどいところまで話しました。

本人は23歳、やはり人並みに今の共産党政権に対しては不満を持っています。

役人らの不正や不平等、内陸部と沿岸部の格差、拝金主義、情報統制、驚いたことに私たち日本人が持っている憤りと同じでした。

やはり日本企業に勤務しているからでしょうか。日本人に対しての偏見は全くといっていいほど持っていません。

私が持っている中国哲学諸子百家のコレクションを見て面食らっていました。

中国人でもこれを全部読む人は少ないし、高校生でそんなのを読んでいたら先生に怒られる(笑)。

私が留学していたときに、中国政府の官費留学生と仲良くなり、部屋に招いてこの諸子百家を見せたら、その官費留学生はびっくりして真顔で「そんな本を読んでいたら人間がダメになる、これを読むべきだ」と言って毛沢東語録を取り出した話しをしたら、二人ともゲラゲラ笑って、「あるある」と連発していました。私が諸葛孔明の信奉者であることを話したら非常に感心していました。

もう一人の研修生Sさんは四川省出身だと言うことで、私もいずれは必ず成都に行き、諸葛孔明墓所に行ってみたいと話したついでに、三峡ダムの話になりました。

日本人は皆、山峡ダムのために水没した白帝城に深い悲しみを覚えたと伝えました。ダムは今後100年程度の産業だけのためだが、白帝城は1700年前の今に至っても伝承される遺跡で、これから先1000年先にも残せるものだったのに、と言ったところ、本人達も強く同意してくれました。

現在三峡ダムがあちこちに悪影響を与えていて、しかも機能不全に陥っていることは本人らもよく知っていて、強い怒りを覚えているようです。

工業が発展している中国に日本はあまり関心がなく、不憫にさえ思っている人もいて、そういう中国に一般の日本人が興味を持つことはあまりないでしょう。しかし、たとえば三国志関係の遺跡をきれいに保存して、中国国民皆が三国志の英雄達を誇りに思うのであれば、たぶん、日本人はもっとたくさん、中国を訪れると思います。自分の国の工業力を誇る人よりも、自分の国の文化を誇る人の法が世界的にも信頼されます。この私の考え方には彼らも強く同意してくれました。

話すと長くなりますが、やはり普通の多くの中国市民はともあれ現在の共産党政権に対して強い不満を持っています。ネットで馬鹿なことを言っているのはごく一部なのでしょう。それは日本でもネトウヨが日本における意見のごくごく一部に過ぎないのと同じです。

珍しく天皇陛下の話が出ました。

私は現在の天皇陛下は直接的に政治的な権力を持ちませんが、それだけに一人の人間として完全無欠に近い人格を国民は期待し、そうであるからこそ、今に至っても国民から絶対的な信頼を得ている、と話したところ深い感動をもたれたようでした。また、皇后陛下が皇室で初めて、民間人出身であり、当時の日本では大変ロマンがあったという話しにもかなり感心した様子でした。だから我々は野田総理に来てもらっても大して感動しないのに、天皇陛下のご訪問を受けるとどんな人間でもかなり感動するのは他ならぬ人間力のためだと説明すると、深く同意してくれました。

画面上の中国人と実物の中国人、重なるところがなきにしもあらずですが、やはり一人の人間として観たら、我々日本人とあまり大きな違いはないのかもしれません。

平成二十四年神無月十三日

不動庵 碧洲齋