不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

尾瀬ヶ原 神のタイミング

関東に住みながら、まだ一度も尾瀬には行ったことがありませんでした。何と言っても色々規制が多い上に非常に人気のある国立公園、テレビなどでは、狭い板敷きの道が人の行列で溢れかえっているのを眼にします。

今回、息子の授業参観の代休を利用して日月で参ろうということになりました。

9/29の夜に池袋から長距離バスで尾瀬まで。30日の早朝から歩き、当日は一番東端にある山小屋で宿泊、翌日は別のルートを辿って同じ入り口まで戻るというコース。

一番気になったのが台風。

時間を追うごとにどんどん悪化していきます。

まあ、それでもとりあえず行けない程ではないということで、予定通りにGO。

土曜日は午前中は仕事、午後から稽古。

今週は木曜日は行けなかったので、どうしても行こうと思った次第。

土曜日は珍しく人が多く、合計で12名。

気温もちょうど良く、なかなか楽しめました。

帰宅後に、言われると思いましたが妻に稽古になんか行っている場合かと罵られました、いつものことですが。海外部は基本土曜日にすることは非常に少ないのです。また、日頃から準備万端なので、わざわざ日頃できないことを土曜日にやるなんて事もないのです。忙しいときは本当に出勤しますが、そうでない場合は基本、月に1度あるかないかの土曜勤務は午前中だけにしています。

我が家時間1915発。池袋には割にギリギリに到着しました。

思いの外バスはマイクロバス。人が少なくて結構。

しかしうちは奇数なので私だけ他人と相席。

隣に座ったのは傷心一人旅の麗しきヤマガール美女・・・なわけないですよね。

年齢の想像はお任せします(笑)、容姿については言及しないことにします。

ただ、バリアーを張っているのだけはよく分かりました。

バリアーを張らないでいられる対象は尾瀬大自然だけかぁ・・・。

ちょっと悲しくないですか、って心の中で呟きました。

電車に比べるとバスは狭いですが、飛行機のような揺れがない分、マシかも知れません。

2度程サービスエリアに止まりました。息子は爆睡。大物になれます。

バスの中でも本を読める人がいますが、私はダメですね。

尾瀬ヶ原の代表的な入り口、鳩待峠に着いたのは朝5時頃。

一般車両はそのずっと手前から進入できないことになっていますから、例えマイカーで来ても、手前で公共バスに乗り換えないと行けません。

不便ではありますが、自然を守るためには重要かと。

台風が来ているという割にはバスが続々(笑)。7-8台は来たでしょうか?

ただ、スカスカのバスも確かにあり、バスの割には人が少なかった気がします。

5時半すぎに鳩待峠から出発。

普通、山というと登って下って終わりなのですが、今回は逆。

下って登って終わりになります。

尾瀬は湿地帯なので、まずは下まで降りるからです。

後で分かりましたが、今回で一番きついコースは鳩待峠を出てすぐのところ。

行きは下りでしたが、帰りが大変そう。

40分程度森の中を下ると、幾つかの建物が集まっている木の鼻という場所にたどり着きます。ビジターセンターとかもあります。狐や狸の剥製や熊の剥製もありました。デカいな。息子から「パパと熊どっちが強い?」って聞かれたので、「無論俺だ!」とこぶしを熊の剥製に叩き付けようとしたところ、スタッフのオジサンに白眼視され、苦笑された。遠くだったけど、その昔グリズリーの小熊に遭遇したことだってあるんだぞ(負け惜しみです)。

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推定80キロのツキノワグマ。現実にはちょっと怖いな。

ビジターセンターはなかなかリアルで良かったです。そこで山人(ヤマンチュ)のTシャツも買いました。イマドキのお土産Tシャツってクオリティが高い。ちゃんと登山で着られる品質だ。

トイレは基本。チップ制。1回使う度に100円。払ってない人もわりといたぞ!

そんなことしていると中国人みたいになっちゃうぞ。

そこを過ぎると、東武鉄道の駅に張ってある、尾瀬のポスターの景色が見えてきます。

入り口に入場者数カウントのためのセンサーがあったのには驚いた。非常に厳しく管理、規制しているんですね。

いやいやすごかった。日本の風景ながら、普通の風景とはちょっと違う。

おまけに人が極端に少ない。想像していた尾瀬って人混みだらけですが、木の鼻を過ぎると人もまばら。台風様々です。

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こんな感じ

尾瀬ヶ原は東西6キロ、南北3キロ程の完全な平地の湿原です。湿原故にどのシーズンにも何かしらの花が咲いているそうです。西端には至仏山、東端には燧ヶ岳(ひうちがだけ)があります。

ご存じの方も多いと思いますが、湿原には木道が整備されていて、そこだけ歩いて良いことになっています。ここを訪れる方の意識は多分高いのでしょう。木の鼻の土産店前も含めて、ゴミとおぼしきゴミは道中1.2個ぐらいしか見かけませんでした。(残念ながら拾える場所にはありませんでしたが)日本人の公共心が非常に高いことがよく分かります。

尾瀬は周囲の山とかに行くつもりがなければ、普通のシューズの方が歩きやすいですね。私もいつものGTホーキンズのタウンシューズにしましたが、大正解でした。(雨も降らなかったので)木道は上り下りと2本になっていて、つかえることはないのですが、ちょっとよろけると場合によっては湿地にドボン、という程度の細さ。多分シーズン中に落ちた人は数知れないことでしょう。また、所々ベンチエリアもありますが、逆にそれ以外で立ち止まって写真なんか撮ろうものなら、人が多いときはひんしゅくだと思います。私たちが行ったときはそういう心配は全くありませんでしたが。

朝が早かったので、東端の山小屋集落にたどり着いたのは11時過ぎ。チェックインが13時半なのに早すぎ(笑)。それぞれの山小屋には飲食店や土産店があるので、幾つか見て回る。さすがに場所が場所だけに缶飲料が2.5倍ぐらいします。道中、荷物を一杯背負って歩いているお兄さんもいました。

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一心不乱に山小屋まで荷物を運んでいるお兄さん。競歩程度の早さだった。

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山小屋に到着!

昼食は軽食を出す店で。家族みんなで違うものを注文。意外にもどれもうまかった。その後疲れたので昼寝。人が少ないので(というよりほとんどいなかったので)本当に静かです。時折ロシア語の勉強などもして時間を潰し(ちゃんと持って来ましたよ)、13時半に晴れてチェックイン。人が多いと相部屋ですが、想像通り個室。6畳でした。ちなみに宿泊した山小屋は弥四郎小屋という山小屋で、山小屋集落でも尾瀬ヶ原に正面を向いている為、尾瀬からやってくるときに一番最初に見える山小屋です。個室は別館でしたが、2階だったので見晴らしも良い・・・。周囲をちょっと散策しているうちに風呂の時間。温泉並みの抜群の景色でしたが、風呂が熱かったのと、そもそも石けんやシャンプー厳禁なので、風呂に浸かるだけ。まあそれでも疲れはいやされました。

息子は風呂の後は爆睡。妻が風呂から上がってくると食事。この頃になると雨がぽつぽつ降り出してきました。結局、喜ぶべき事に広い山小屋に我が家を含めて2家族と1カップルだけ。(だから一番景色の良い部屋を割り当ててくれたんですね)

食事は本当に仏の山小屋の料理でしたが、ごま豆腐は極めて美味しかった。基本、私は山小屋などに行くと、なるべくたくさん食べることにしています。今回も腹一杯頂けました。もう一つのご家族はお父さんとお母さんと息子ぐらいの男の子ともう少し小さい女の子。葛飾区から来たそうです。10/1は都民の日なので、うちも都民かと思われたのでした。部屋に戻ると、息子と二人で山小屋に設置してあるマンガ「岳」を読みました。さすが山小屋だけあっておいてあるマンガも山モノ。おもしろかったですね。

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山小屋の夕食 こういうところで食べると何でもおいしく感じます。

電気は21時に消されるようですが、21時前に寝ました。妻はもっと早く、20時には寝てました。雨も激しくなってきましたが、朝3時前に起きたときには既に止んでいた模様。まさに神のタイミングで台風が尾瀬を通り越しました。

続く

平成二十四年神無月二日

不動庵 碧洲齋