不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

名前の持つ不思議さ

私は本名の他に二つ、別の名前を持っています。

一つは英名、いわゆるイングリッシュネームというやつ。

イングリッシュネームは20歳ぐらいの時、出稽古に来ていた米国特殊部隊の隊員から半分冗談交じりに「お前はブルース・リーに似ているから俺はお前をBruceと呼ぼう」と言ったのがきっかけでした。本名の下の名前は確かに言いにくいかも知れません。故に入れ替わり立ち替わりやってくる外国人門下生に覚えやすいように使おうと思いました。実際に使い始めたのは留学から帰ってきた23歳頃から。それでももう20年近く、Bruceを使っており、今では全く違和感がありません。日本人は(韓国人もかな)普通、英名を持ちません。中国人は海外に行ったことがない人でも英名を持っている人が多くいます。中国語の発音が難しいからでしょうか。英名を持つことには賛否両論ありますが、外国人と付き合う機会がある場合で外国人に発音しにくい名前の場合は英名はありだと思います。むやみに付けることにはいささか抵抗がありますが、よくよく考えて気に入ったら付けてみるのも手でしょう。

Bruce は主に外国人から呼ばれる場合に使われます。仕事上、海外の顧客の一部からもそのように呼ばれています。日本人で英名を持っていることが珍しいので、割とよく覚えてくれています。

不思議と違う名前で呼ばれると別の人格が現れます。私は中国哲学の一環で、少しだけ姓名判断を学びましたが、やはり違う名前を使うと別の人格が出てくることはあるようです。

ちなみにBruceはかなり大胆で饒舌(笑)。多少の誤解を恐れずに言えば、特に美人の前に立つと大胆不敵になり、日本語ではまず言わないような恥ずかしいぐらいキザなことも平気で語り、クールに振る舞います。英語を使っているからででしょうか。欧米化されるからでしょうか。よく分かりません。

もう一つは武号というシロモノ。

武号は姓名のように庵号と武号の構成になっています。不動庵 碧洲齋。これは息子が生まれた翌年、2004年正月に名付けました。不動庵は私が酉年生まれで本尊が不動明王だったことから。また、よく行くお寺も不動明王と深く縁があり、不動明王は修行者の守護神でもあるからです。庵としたのは私のHP名をそのようにしたかったためです。今では私の道場の正式名称にしています。碧洲齋はもともと「碧洲」でした。当て字読みすると「ブルース」自前甲冑で祭りに参加するようになり、武者風ハンドルネームを用意した方が良いというアドバイスで思い付きました。その後、何となく「齋」を付けました。「齋」は隠居した武芸者や侍などがよく使っていたそうです。確かに時代劇でもそんな名前の武芸者のじいさんとかよく出てきますね。私もあと10年か20年したらそんな風格が出てくるんでしょうか。

こちらは主にネット上と武者仲間で使われていますが、同門でも碧洲齋が私の武号であることはよく理解している人が多いです。碧洲齋も使い始めて8年ですが、多分この名も死ぬまで使い続けるのではないかと思います。

この名を使うのはネット上であることが多いのですが、細々とは言え武芸を長くやっていると思うところについて書かずにはいられません。英語で糺すような書き方をすることが多いのですが、実際の年齢よりもずっと古風に書くことが多くなります。逆に言えば落ち着いて書くための御守のようなモノです。

mixiではほとんどの人がハンドルネームを持っていて、実名を使う人は少ないと思います。それに似ていて、違う名を持つことは違う視点を持つことのような気もします。

平成二十四年長月二十四日

不動庵 碧洲齋