不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

時代祭について最近少し思うこと

思えば甲冑を着て祭りに参加するようになってから早8年。小さい祭りも合せると30回ぐらいの参加でしょうか。

ここ3年ぐらいは自前甲冑というスタイルが非常に人気を呼んでおり、驚くほどの勢いで多くの人が甲冑を買い、日本の歴史に興味を持ってくれています。

これは本当にありがたいことです。

その昔、私が参加したての頃、諸先輩方から幾つか言われたことがあります。

箇条書きになっていますが、色々な先輩方から聞きかじったことをまとめただけです。

其の一、主催者を誹謗すべからず。

其の二、主催者を支えるを善とし、主催者に支えてもらうを悪とすべし。

其の三、観客を喜ばせることが最重要と心得るべし。

其の四、自分たちが喜ぶことが観衆が求めているとは限らない。

其の五、自前甲冑隊はあくまでおまけ、決して目立とうとすべからず。

其の六、主催者の邪魔にならぬ程度を心掛けるべし。

其の七、観客への奉仕を忘れるべからず。

大体こんな感じでしょうか。

滅私奉公というか、そんな感じでした。

また、年齢的に比較的高い方が多かったせいか、マナーやエチケット、その場の空気を読むという点でも非常に優れていた方が多かったように思います。

先日、私は埼玉県さいたま市岩槻区の商工会議所に行ってきました。

来月開かれる、岩槻人形祭りの会議のためです。

私と同席したのは軍兵衛殿と鉢形城三鱗会の部長さん。

私は今年から鉢形城三鱗会という組織に入りました。

鉢形城三鱗会は埼玉県寄居町にある北条氏ゆかりの城、鉢形城を拠点として、1958年に北条氏家臣団の子孫を中心に組織された、いわば時代祭の先駆的な組織です。(多分)

毎年、寄居町では盛大な合戦などを含めた歴史祭りが行われています。

基本、私は先輩方と同様に、どこにも所属しないことをモットーにしていましたが、ここにきて外国人同門たちに日本文化について色々体験させる機会が増えてきたため、何かよい手はないかと思案していたところ、同じ甲冑仲間の軍兵衛殿から三鱗会入会のお誘いを受けました。

実際、会を仕切っている部長さんとも以前一度だけお会いしましたが、今回初めて会についての説明や信条を聞くことができました。

さすがというのが実感でした。私が先輩方から聞かされた、自前甲冑武者としてのあるべき姿をよく斟酌していたように思います。徹底した滅私奉公の姿勢に感銘を受けました。

これなら長く鉢形三鱗会にお世話になれそうです。私自身、世界に日本の文化を発信できるよい機会を得られたと思い、感謝しきりです。

剛毅木訥仁に近し、巧言令色鮮なし仁の二者で言えば、部長さんは間違いなく前者です。故に信頼に値すると思った次第。基本私は後者タイプはかなり冷徹に観察してしまいます。(いや巧言令色でも優れた人格、才能の方はもちろんいますよ)

甲冑を着ていると気が大きくなります。

派手な事をしたくなります。

特に武芸のたしなみなどあろうものなら、気宇壮大になる感、益々あり。

私も初期は色々周囲にご迷惑をおかけしたことがなきにしもあらずですが、不惑を超えるとやはり観客の皆様、主催者の皆様、仲間の皆様あっての祭りであることをひしひしと感じずにはいられません。

甲冑を着ている間はできたら身も心も一挙一動に至るまで侍として恥じないようにありたいものです。

そうすることによって、観客も主催者も仲間も互いに楽しめるというものです。

と、最近つれづれ思うのでした。

平成二十四年文月十九日

不動庵 碧洲齋