悪魔は天国に行けるか?
神は地獄に行けるか?
私は、どちらもあり得ると思っています。
悪魔は一人で悪魔たることができません。
悪魔は神がいて、その対比としてのみ存在が許されています。
例えば光が物に射し、その陰が悪魔です。
だから悪魔は神なくしては存在し得ないのです。
故に悪魔にとって地獄が天国なのです。
地獄では神との対比がありません。比較すべき対象がないのです。
だから地獄では悪が悪たらしめる必要がなく、悪魔たちは安心を得るのです。
だから地獄が彼らにとっての天国なのです。
神が地獄になるとすれば、それは「自他」を認識した時です。
聖書の冒頭にもあるように、世界を作って人を造ったまではよかったのですが、人が「自他」を識り、慌てて衣をまとったその時が、神が別れてしまった瞬間だと思います。
絶対的視点から相対的視点に変換してしまった瞬間、天国が地獄になったのだと思います。
宇宙全体が神、それが神そのものなのに、人が「我」と識った瞬間、神からはじき出されてしまった哀れな存在になってしまったのだと思います。
個人的にはまた、神の一部になるための修行そのものが、人に課せられた尊い行だと信じてはいますが。
悪魔の例、神の例どちらにしても、結局言っていることは同じなのだと思っています。
今生きている今生の世の中に於いても、このことについてよくよく考えて生きてみたいところです。
平成二十四年弥生三十日
不動庵 碧洲齋