不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

修身のこと

ここ最近、私は陽明学朱子学を中心とした書籍を読んでいます。(格言集の類ですが)

どちらも儒教ですが、古代中国で発生した儒教をより実践的にしたような感じでしょうか。

特に陽明学は「知行合一」、つまり知っていることと実践することは表裏一体という思想を持っています。

この本は確か20代初めに買ったものだったかと思います。

30代初めに読み、そして今、40代初めでもまた読んでいます。

年を重ねて読むごとに、このような古典の奥深さがうかがい知れます。

これを読むと自分の至らぬを知り、驕慢を戒めます。

会社の同僚に1人、問題がある人がいます。

正直言って彼は仕事に対する姿勢は真面目ですし、几帳面です。

きれい好きで、家庭を大切にしているのがよく分かります。

ただ、対人関係においててかなり粗暴で、私が入社したとき、他の社員(20人近くでしょうか)のほとんど全員から「あいつには注意しろよ」と助言されたぐらいですから、相当なクセものです。

仕事そのものはよくできるのに、それが全部ご破算になってしまう程の性格です。

年に何度も他の社員とぶつかります。

そして注意される度に「オレはバカだから。これは直らないから」と言います。

まるで昔懐かしの不良中学生の如くですが、ちなみに彼は不惑です。

印象的なのは、やはりキレた後、時々後悔の念が少なからず滲み出ていることです。

残念ながら学生ではないので、私は彼を助けることはできません。

ただ、最近は「慈悲」という意味が理解できてきたように思います。

自縄自縛、己が身を修めない者は他の誰でもない、自分自身に苦しめられます。

何と言っても人生史上最強最悪の敵は他ならぬ自分なのですから。

私自身は武芸を修めています。

言ってみれば凶器を手にしているようなものです。

凶器を手にしていても、自ずから狂気にあってはならぬと、我が身を戒めます。

故に生涯、修身ということを忘れてはならないと思うのです。

それを考えたとき、敵に勝つことは己に克つことに比べ、いかに容易いか思い知らされます。

それでも私は最強の敵を組み伏せる途上で何かを得られるものと信じています。

SD111025 碧洲齋