私は本名の他に英号と武号と両方持っていますが、本名と同等ぐらいよく使っています。
仲のよい友人はよくご存じだと思います。
今回はどのように「Bruce」になったか、ちょっと書いてみようと思います。
昔過ぎていまいち記憶がはっきりしないのですが、留学直前に1人のアメリカ人が道場の稽古に参加していました。
何と言うか、凄みが違うんですよね。
兵隊さんももちろん、自衛隊と違い実戦経験がある人が多いのですが、特殊部隊の方やSWATなどの特殊任務の方は輪をかけて本当にこちらがチビりそうなくらいの迫力があるんです。
その頃は粋がっていたとはいえティーンの小僧でしたから、それはもうビビりまくりでした。
だから、学校やその他の場所でたまにに威圧しようとするチンピラ風情も本場の方たちと比べると、本当に頭をグリグリして「キミタチ、カワイイネッ!」て言いたくなるほどに桁違いです。
留学前、彼と稽古をしたのですが、休憩中、彼は眉間にしわを寄せつつ、私をじっくり観察したあと真顔でうなずき、
「うん、そうだ。お前はブルースリーに似ているから、俺はお前をブルースと呼ぼう」と言いました。
その時はまだ、自己流で友人と時々ジークンドー(ブルースリーが造った流派)を練習することもありました。
ジークンドーは哲学的には非常に完成度が高い格闘技だと思います。ブルースリーの著書も幾つか読みましたが、今でも新鮮に感じる部分が多くあります。
本当に努力の人だったのでしょう。もちろん今でも尊敬に値する人です。
ただ、武技としてはもう少し、ブルースリーが老成するまで、見守りたかったですね。
例えばもし今、彼が生きていたら71歳。
今のジークンドーを見てみたかった。場合によっては転向してもよいとさえ思います。
武芸者は32歳で死んではいけません。
厳しいことを言いますが、武芸者はsurviverです。スポーツじゃないのです。
生き延びてなんぼの価値です。
死んでしまったら全部ご破算です。
もちろんブルースリーの偉業は輝かしくあり不滅ですが、アクション俳優、ジークンドー創始者としてです。
一武芸者としてはとても残念でなりません、というのが私の偽ざる感想です。
実は留学中、ブルースリーの墓地に行きました。
残念ながら本人の墓の目の前に行くのはためらわれました。
ああいう人です。そのような人の墓を見るというのは忍びないものがあったからです。
墓地のあるシアトルには何度も行きましたが、結局彼の墓地にはその後は行きませんでした。
多分、私がジークンドーの動きを道場でやっていたのをミスターグリーンベレーは見ていたのだと思います。
一時帰国時も彼は私を「ブルース」と呼んでいました。
他の外国人の方も冗談でそう呼んでいた方もいたように思います。
本当に似ているかどうかは分かりませんよ。ポーズを取ると東洋人だから似ているように思ったのでしょう。
留学中驚いたのですが、中国系の留学生は皆、ほとんど英語名を持っていたんですね。
確かに発音しにくいのでその方が便利かも知れません。
他にタイ人なども持っていました。
結構仲がよかったタイ人の女の子は「カノクゥアン・(ミドルネーム、忘れました)・ナパラタヤポーン」とかいう名前でしたが(今でも覚えている自分が怖い・笑)、彼女は「レック」と呼ばれていました。
(もちろん長らく記憶に残る容姿の女の子だったことは言うまでもありませぬ・笑)
日本人の名前だって結構発音しにくいとは思いますが、何故か日本人のほとんどは英語名を持ちません。
たまたま「ジョー」とか「ケン」とか「ジョージ」とか英語の名前にも同じような発音があるときはそれを使っている人もいましたが。
日本人が世界慣れしていなかったのか、自分たちに相当自信を持っていたのか、その辺りは分かりませんが、名前を変えるなど思いもよらない人が大半のようでした。
私がブルースを意識して使い始めたのは多分、日本語教師として豪州に赴任する少し前だったと記憶しています。
24歳ぐかいかもしれません。
赴任中、ホストファミリーや赴任先の小学校の先生、生徒たちからは「Bruce」で呼ばれていました。
多分、本格的に使い始めたのはこの頃からだったと思います。
ホストマザーのお父さんの名前もBruceでした。漁師だったそうです。
仕事中海に放り出され、豪州史上初めて、フィリップ湾(メルボルンが面している湾)から外海に流された人だったそうです(笑)。
残念ながらホストマザーが16歳ぐらいの時、交通事故で亡くなってしまいました。
だからホストファミリーやホストマザーのお母さんも私を非常に大切にしてくれました。
もう15年以上経ちますが、今でも交流は続いています。
日本人が英語名を持つ必要性ですが、基本的にはないと思います。
ただし、外国人との交流がとても多い方で、発音しにくい場合はあってもよいとは思います。
私の場合はどちらも当てはまりますが、その上でなし崩し的に使い始めたということもあります。
英語名を使い始めると不思議なもので、もう1人の自分が共存しているかのようです。
そういう意味では姓名判断というのも意外と当たっている部分もあるのではないかと思います。
Bruceとはかれこれ20年以上、真剣な交際(笑)をしてから17年ぐらいになりますが、やはり英語で話すときと日本語で話すときは結構違う自分がいるように思います。
結構違うな、と思うときは・・・
・美女と話すときは、かなり流ちょうに、しかも日本語だったら顔面から火を噴きそうなぐらいキザな台詞が、ポンポン出てきます。(で、でも態度は真面目ですよ、いや、本当に!)
・話すときは結構自信を持って話します。(英語の場合は仕方ありませぬ)
・スラングはもちろん知ってますが、ほとんど使いません。カッコイイ話し方が好きなのです。
ただ、道場内では基本、寡黙にしています。道場内であまりぺらぺら話すのは好きではありませんし、外国人の場合特に、相手を選んで話さないとたいそう嫌な思いをしますので。
最近はスポーツ選手や俳優などでも日本人の活躍が増え、覚えられやすくなってきましたし、子供の名前もなかなかシャレた名前が増えてきたので、そのままでも良いのかも知れませんね。
SD110620 不動庵 碧洲齋 Bruce