不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

道産子馬の歩き方とナンバ歩き

先ほど妻子が鉄腕ダッシュを見ていたのですが、そこで道産子(馬)が出てきました。

私は知らなかったのですが、道産子の歩き方は側対歩というものだそうです。

側対歩とは右前足と右後ろ足が同時に動く歩き方です。

これの歩き方の優れている点は、乗っている人が揺れにくい。

従って昔は騎射などにも側対歩ができる馬が使われたそうです。

現在でも流鏑馬に使われているところもあるそうです。

なるほど・・・

これは人間で言う「ナンバ歩き」になりますね。

なかなか賛否両論あるのですが、それは多分、できる人が少なく、実際に日頃からナンバ歩きをしている人が少ないからでしょう。

何度かブログで書いてますが、私はナンバ歩きです。

ただ、テレビや書籍で紹介されているナンバ歩きと私がしているのが同じかどうかよく分かりません。

同じようにも見えますし、違うようにも感じます。

また、昔の人がそういう歩き方をしていたのかどうか分かりません。

ただ、「やっていなかった」という方は当然、そういう歩き方を体得していない人が多いのではないかと思います。

個人的には皆がいつもそうしていたとは思えませんが、割に普通にできた人は多かったと思います。

そして必要に応じて(職業に応じて)行っていたのかも知れません。

体感として違うのは、身体をひねらないこと。

実は普通の歩き方はたくさんの筋肉を使用しています。

そして何と言っても普通歩きで特徴的なのは反動を使っていること。

慣性力を使って均衡を保たせていること。

実は武芸上、コイツがクセ者なのです。

反動のリズムや慣性力のベクトルをごくごく僅かに崩れただけで、結構バランスを失います。

私の経験ではかなりの熟練者でも簡単に崩れてしまいます。

ナンバ歩きは反動も慣性力もほとんど使いません。

筋力も普通歩きに比べるとずっと少ないように思います。

重力を最大限に利用しているためです。

歩き方の特性上、例えば足を引っかけて倒すというのが極めて難しいのです。(不可能とは言いませんが)

無論、最大の特徴は馬と同じく揺れが少ないこと。

精密な見切りをするには、移動する際に揺れが少ないのは非常に武器になります。

体幹がかなりしっかりしています。

これをするようになってから技のキレが飛躍的に良くなった気がします。

更に特徴としては無音化しやすいこと。

意識しなくても割と簡単に足音を消せます。

むろん振動などもです。

また、この歩き方は滑りにくい歩き方でもあるので、氷上、雪上でも極めて有利です。

ナンバ歩きは足裏を自然に無理なく均等に接地することができます。

普通の歩き方で足裏の運びを限りなく垂直上昇/垂直接地させると、やはり無理があります。

ナンバ歩きをするまでこれはどうしても解けない問題でした。

ちなみに実は普通の人でもナンバ歩きをしている可能性が高いときがあります。

それは階段の昇り。

多分普通の歩き方よりはナンバ歩きの方が歩きやすいはず。

上げた足と同じ側の手で膝を押すようにしてみてください。

結構楽に登れるはずです。

(下りは落下時の慣性力を分散させるために、普通歩きか腕を振らない方がよい)ぜひやってみてください。

実際、ナンバ歩きをするようになってから7年ぐらいになるでしょうか。

完成度として十分に満足がいくようになってきたのは多分5年ぐらい。

次なる目標は・・・ま、それはできるようになってからということで。

本邦初公開、2005年頃、浜辺で行った実験結果

この1.2年後、大体完成形になってきました。

両方の足跡は少し走った状態の足跡です。

(砂上歩行、走行にはナンバ歩き以外にもコツはありますけどね、そこは秘伝と言うことで!ウソウソ

こちらが普通歩きの足跡

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こちらがナンバ歩きの足跡

つま先が砂にめり込んでいないのが分かります。

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基本地面を蹴らないので、砂上歩行(走行)でもあまり砂はめり込みません。

・・・そんな歩き方をしていたら目立つでしょうに、と思った方は驚くと思います。

普通他人はそこまでよく見ていない!のです。

試行錯誤している時期も合わせて10年近くやってきましたが、その間、違う歩き方だという指摘を受けたのは3回程度。

歩き方が完成形になってからは皆無です。

そのくらい、気付かないものなのです。

SD110612 碧洲齋