私は今でこそ多少武芸の心得がありますが、中学生まではまあよくいじめられました。
弱いのもそうでしょうし、人格的にも問題があったのではないかとさえ思ってしまいます。
先日ふと、何かの記事にいじめのことが書かれていたので、自分の体験を織り交ぜて少し書いてみたくなりました。
一番最初に「いじめられている」と思ったのは小学校の入学式の直後だったと思います。
当時私は新興住宅地の中の一軒家に住んでいました。
父は某大手映画会社、母は専業主婦でした。
小学校までの道のりは、6歳の子供にはやや遠く感じる、1.5キロ、40分近くかかったように思います。
入学式翌日、集団登校をしていたのですが、班長からいきなり「付いてくるな」と言われました。
実は彼の母親がその新興住宅地の井戸端リーダーでした。
ともあれ小学校1年生になった翌日から1人で登校しました。
辛いとか悲しいとか思ったかも知れませんが、ともあれ行かねばならないのですから毎日必死に歩きました。
おかげさまでしばらくすると寄り道して帰ることができるほどに余裕ができました。
ともあれ親たちのことでその子供がいじめに遭っていたのですから、当初は何が何だか分かりませんでした。
いつだったかは思い出せないのですが、母から理由を聞かされました。
母は近所の病弱な奥さんを助けていたのですが、ある日、その奥さんが体調不良で井戸端会議に出られないことがありました。
そこで井戸端リーダーが激怒、それをかばった母にも激怒と言うことでした。
もともと母は活発な方で、そういう専業主婦根性が非常に嫌いでした。
それを機に母は運転免許を取り、近所の清掃関連の会社に就職しました。
全国規模でかなり名の知れているあの会社です。
その会社は人間教育を非常に重要視しており、働けば働くほど、そういう愚かしい性根を憎みました。
多分、私もそれに感化されたのだと思います。
今でも専業主婦と聞くと、この体験が蘇り、どうにも先入観を持ってしまいます。
近所ではおじいさんおばあさん級の人はほとんど私の家の味方だったことはよく覚えています。
母と同年代の人たちの少なからぬ数の主婦も母の味方だった気がします。
しかしいじめはエスカレートし、夜な夜な人の家の庭に入ってカブトムシは盗んだり(一度父が捕まえたら例の班長で、その親はもちろん逆ギレしましたが)、植木鉢を割ったり、糞を投げつけたり、散々でした。
うちに柴犬がいたのでとても助かりました。今思うとかなり頭のよい犬でした。私が生まれたときに飼われ、15年生きました。
子供ながらに情けないと思ったのは、親友の親たち。
そのモンスターペアレントには言いなりになっても、影では私を大事にしてくれたというのが、ある意味後世の私の大人不信になっているのかも知れません。
引っ越す少し前にはよく両親が夫婦げんかをしていました。
多分、この近隣の状態が原因だったと思います。
小学校3.4年生にもなると処世術に長けてきますから、例のモンペを避けるようになりましたし、それなりに学校を楽しんでいました。
それだけに引っ越しは我が家の状況をよく理解していても悲しく思ったものです。
引っ越しの日、敵対していた主婦たちが続々やってきました。
やっぱり悪いと思っていたのでしょうね。
それはそれで子供心に大人の弱さというかバカさ加減というのがよく焼き付いたように思います。
また、その時、母は強いなとも思ったものです。
それから10年ぐらいは強くもないのに正義に従おうとして、散々いじめられたのは多分、この頃の体験からだと思います。
これがなかったらきっと、もう少し主体性を削いで、長いものに巻かれて楽をしたと思います。
正直に言ってどちらがよかったのか、今でも分かりません。
思い返すと、今は共働きの家庭が多いと思いますし、そういうツルむ主婦も少ないのではないでしょうか。(集合住宅は分かりませんが)
そんな意味では地域の関係が希薄になってきているのかなとも思います。
私と弟は共働きだった両親の代わりに近所の人に預けられていました。
その人たちはとてもよくしてもらった記憶があります。
そういうことができなくなった今の社会に、私はやはり恐れを持たずにはいられません。
SD110531 碧洲齋