不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

戦時のスローガン

大東亜戦争中に使われた数々のスローガン、戦争に勝つために色々編み出されました。 この手のスローガンは戦争があればどの国でも見かけることができます。 その国の民族性が表れていると言えるかも知れません。 今回の敵は「鬼畜米英」ではなく、大災害です。 このような非常時に際して、当を得ている表現もあるかと思い、幾つか書き出してみました。 「ぜいたくは敵だ」 一番有名な文句ですね。しかしよく見てください。やはり日本人の贅沢病が蔓延しているから今のこの状況を余計に苦労と考えるようです。そう思うと、これはなかなか真理ですね。家族みんなでろうそくを見つめる時間がなかなか得がたい貴重な時間だったと語った友人は周囲に結構いました。 「欲しがりません勝つまでは」 これも有名な文句ですが、非常事態下の日本には是非とも必要な言葉ではないでしょうか?「勝つ」は「克つ」でいいと思います。中国諸子百家の中の法家「管子」に欲望の限界について語っているものがあります。どんな内容でしょうか?良かったら読んでみてください。 「進め一億火の玉だ」 国民のみんなはまさに今、このように思っているのではないでしょうか。悲嘆に暮れているヒマはありません。国民皆が一丸となってそれこそ火の玉のように邁進していかねばならないのだと思います。そうすることが亡くなった方への供養であり、生き残った者たちが癒される道だと思うのです。 「偲ぶ戦線 感謝で作業」 日本の労働者はいつもクオリティーが高いと思います。この精神は今に生きていると言えます。災害現場で働いている人たちや被災者たちを思いやって節電をしたり寄付をしたりエールを送ったり、この効果は今や世界で100カ国以上からの支援を受けていることを考えると、「和の國」は絵に描いた餅ではないことが分かります。 「汗で耕し 工夫で増産」 まさに真理を突いていますね。全くその通りです。日本において汗をかかないホワイトカラー業種の人、ものを考えないブルーカラー業種の人は日本人ではありません。皆が汗をかき、知恵を絞って各の職務をよりよくしていく、これこそが日本人の精髄のような気がします。そしてそこが世界から敬意を以て観られているところでもあります。 「血の犠牲 汗で応えて 頑張らう」 今回犠牲になった方の血に応えるためには、同じくらいの汗をかいてでも恩返しをしたいと思っています。日本人のみんなが自分の仕事を一生懸命に遂行する。それが値の犠牲に応える一番の方法です。ここしばらくはみんな苦しく、外国からの圧力も不快なものが多いと思います。しかしそれをくぐり抜けると、以前よりもより高いところにいることに、気づくことでしょう。 「権利は捨てても義務は捨てるな」 これは封建制度の名残なのでしょうか。草民は義務を遂行し、領主からお情けを頂くようなイメージでしょうか。見方を変えると日本人は欧米人のように義務と権利は表裏一体、という見方をせず、完全な義務の遂行、責任の完遂というゴールあっての権利だと考えている節があります。私はこの日本人的考えには賛成したいところです。 「守れ日の丸 汚すな歴史」  これは国民よりも今の政府に投げかけるべき言葉ですね。一生懸命にやっているのは分かりますが、国民に伝わってこないのは何故でしょう。実際的な行動が限られている天皇陛下のお言葉や実行の方がはるかに人々の心を打つのは何故でしょうか。そのあたり、よくよく慮って欲しいと思います。 ありがたいことにここ半世紀以上、日本は戦争に直接参加していません。戦死者も発生していません。せめてこのようなときこそ、戦時中はもとより、戦後、ささやかな平和を願って亡くなっていった各災害の犠牲者の皆様のために非常時というものを身近に感じることは、決して無駄ではないと思う次第です。 SD110404 碧洲齋