不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

黄檗宗黒瀧山不動寺

不動寺とご縁を得てから10年ぐらいになるでしょうか。

最初に不動寺を知ったのはNHK小さな旅だったと思います。

以来、年に何度かは訪れました。

護摩祈祷をしてもらったことは何度もありました。

不動堂

画像

禅宗の寺では普通、本尊は大仏如来です。

不動寺の本堂にも大仏如来は安置されてはいますが、メインとなっているのは不動堂に安置されている不動明王尊です。

真言宗ならいざ知らず、禅宗では異例です。

また黄檗宗というと中国風の寺ですが、この不動寺はどちらかというと密教というか修験道というか、そんな感じです。

異例と言えば寺には墓地がありません。

三方を岩壁に囲まれた寸土(といっても結構広いですが)に建立された寺なので、霊園はありません。

寺の由緒は正直不明で、平安時代とか、そのぐらいから寺の境内にあった洞窟と滝で行者たちが修行をしていたそうです。

その後寺が建てられましたが、黄檗宗になったのはもちろん江戸時代です。

不動寺は町寺としてではなく、修行道場としてでした。

不動滝傍の不動明王

画像

隆盛していたときは何百人もの修行僧がいて、黒瀧派としてその本山の地位にあったのですが、今は黄檗宗の一古刹として深山の幽玄に佇んでいます。

霊園のない寺がどんなものだか分かりますか?

雰囲気としては神社に近いものがあります。

場所的にほとんど葬儀が行われませんし、回数で言えば護摩祈祷などの方が遙かに多い所です。

場所が場所なので、週末でもそんなに来客は多くありません。

平日などに行けばほとんど貸切状態です。

そういうところで武芸での閃きや禅定を求めるわけです。

現在の住職は長岡良圓住職。世間の四方山話もしますし、禅の話もしますが、やはり厳しい自然の中で暮らしているだけあって、実生活の中に禅の哲学があり、大自然の中に祈りや森羅万象を観ている気がします。

妻が妊娠したとき、個々で安産祈願をしました。

産まれた息子は住職と同じ誕生日です。

また、私の生まれ年は酉年なので不動明王とご縁があります。

また、不動明王は修行者の守護神です。

やはり私は不動明王に深い縁を感じずにはいられません。

不動寺では黄檗宗風の精進料理、普茶料理を食べることができます(要予約)。

宿泊も可能です。併せてご祈祷などもお勧めです。

私は道場設立の際、ご祈祷して頂き、道場看板を揮毫して頂きました。

不動寺は霊園などで成り立っている寺ではありません。

観光などで訪れてもできたらなにがしかのお布施をぜひお願いします。

私もお布施をしたり作務をしています。

不動寺から見える朝日

画像

昨日は朝6時に寺に着き、朝のお勤めに同伴したあと、息子と二人でたっぷり3時間、落ち葉拾いをしました。

境内は岩壁の直下にある寸土といえども、かなり広いです。

また山中なので雑草や落ち葉などが絶え間なく降り注ぎます。

昨日は3時間で大きい土嚢袋12袋分にぎっしりと落ち葉を詰め込みました。

息子も大したものです。

文句はこぼしていましたが、3時間キッチリ落ち葉拾いを続けました。

息子と集めた落ち葉、1袋30キロ近くあります。

画像

実は昨日は春季例大祭でした。

いつもは静謐なてらも、この日だけは人が非常に多くなります。

そして黄檗宗の僧侶がちが数人いらして護摩祈祷をします。

春季例大祭の様子

画像

今年は私も初めて見る寺宝がありました。

建立時に作られた道具など。

珍しいのは木魚。

木魚は実は黄檗宗が初めて日本に持ち込んだものなのですが、寺宝の木魚は日本においてかなり初期の日本製なのだそうです。

まだノウハウがなかったので材質は檜、音は良くないそうです。

例大祭ではいつも、私の同門や門下で演武をするのですが、今年は大震災の影響で稽古ができず、取りやめました。

とはいえ昨日は私と息子の他、先輩弟子、フィンランドと亜米利加の同門も呼び、雰囲気を味わいました。

不動寺の写真は初めて行った頃以外、あまり撮影したことがなかったので、昨日はかなりたくさん撮影しました。

色々な場面に使ってみたいと思います。お楽しみに。

SD110430 碧洲齋