これらは私が20年以上に亘って試行錯誤してきた経験を元に書き起こしています。
全て正しいわけではありませんし、全て皆さんに当てはまるわけではありませんが、役立つところは少なからずあると思います。
良かったら参考にして下さい。
水は基本、食料にも優先する重要な物資です。
水は飲むだけではなく、体を洗ったり、治療に使ったりと、多様を極める上にあってありすぎることはありません。
また、都心に住んでいると山間部に比べて、水道水以外の水の獲得手段がほとんどないという現実があります。
田舎の方であれば川の水や山の水をそのままとは言わなくとも少し漉したり煮沸すれば利用できるところが多いですが、都会では水自体、水道水やペットボトル以外、ほとんどないと言えます。都心は人口密度が高いことと相まって、この問題は憂慮すべき問題だと思います。そういう意味では都心に出かけるときはペットボトルの水を携帯しておいた方が良いですね。
【備蓄量】
まず必要な水の量ですが、幾つかのサバイバル教本などには2Lとあります。
しかし実際に私が試してきた経験では、最低量は1Lです。
水の用途は、飲料と最低限の衛生を確保するための用途です。
2Lあるとかなり余裕が出てきます。
戦地では1人当りの1日の携行量は2Lと定められているようです。
夏と冬とでは違うのではないかと思いましたが、実際そんな差はありませんでした。
夏は飲料としての水と衛生用の水は多いのですが、調理用は少なかった気がします。
冬は飲料としてはさほど多くありませんが、調理用としては暖かいものを食べるのには水を多用しました。
ただし、地震の後は非常に多くの粉塵が舞う事が予想されるので、普通のキャンプ以上に水は必要になるかも知れません。
また、負傷者の手当にも水は必要になりますので、1Lというのは震災後も健康を維持できている人という前提です。
【水質】
震災後、多くの人がペットボトルを買っていましたが、あれはどれほど有効なのか、はなはだ疑問です。
また、普通のミネラル水は賞味期限がせいぜい1-2年です。
災害備蓄用の高酸素水などであれば5-20年というのもあるので、できたら日頃からそういうものを備蓄しておいた方が良さそうです。
私の家では毎年キャンプなどで買い換えているので、食料、水共におおむね賞味期限が1年でも十分間に合います。
まあ、今回パニクって買われた方はきっとしばらくするうちに無駄になるでしょう。
ちなみにこれはイジワルで言ったのではなく、阪神大震災でも非常用備蓄品として買い込んだものの多くは、そのような運命をたどっていたことを知っています。
日頃から備える意識がないと防災備品というのは全く意味を成しません。
水を長いこと保存しておくと雑菌が繁殖します。
水道水やミネラル水であれば煮沸する程度で済みますが、震災時は燃料がありません。
一番簡単なのは浄水器を通すことです。
浄水器を通す前提であれば、試したことはありませんが、極端に言えば1年程度備蓄しておいた水でも大丈夫だと思います。
もっとも浄水器もピンキリなのでよく吟味する必要があります。
私が持っている浄水器は化学汚染、海水でない限りはほぼ完全に雑菌やバクテリアの類を除去します。
軍用なので基本泥水なども濾過できますが、日本の都市部にいる限りは化学汚染(油や化学物質などの混入)はかなり確率としては高いので、自宅近隣の水源を利用して貴重な浄水器には不要な負担はかけたくないと考えています。
こういう時は田舎に住んでいる人の方が圧倒的に有利ですね。
もっと簡単な方法としては1年以上過ぎたミネラル水は飲用や衛生用ではなく、洗い物やその他雑用に使うのも楽だと思います。
キャンプなどをしない家で水の更新はやや面倒なので、この方法は楽だと思います。
また、最近は浄水剤というモノが売っています。
例えば使用期限を半年ぐらい過ぎてしまった備蓄の水道水があった場合、浄水剤を入れれば飲用には耐えうる品質にはなります。
昔は決しておいしいモノではありませんでしたが、最近のモノは味を損ねないモノもあるようです。私が使っている軍用は強力ではありますが、やや味は落ちます。
浄水剤がない場合、医薬品のヨードチンキを1Lに対して1滴垂らすのも有効です。
1.2滴以上は健康に良くないのでお勧めしません。
ヨードチンキはけがにも使えるので、私も持っています。
手間暇をかけられるのであれば、手製の浄水器を作ることもできます。
ネットなどに作り方が紹介されていますので、調べてみて下さい。
ただし質は劣りますので、やはり市販の浄水器を日頃から持っていることがベストです。
【備蓄場所】
水というのは非常にかさばります。
1人1Lだとしても3人家族で1週間とすると、20Lのポリタンク1つでも足りない計算になります。
そして自宅が崩壊したらそれは使えなくなります。
それには分散配置が一番有効です。
例えば自宅と会社や自家用車など。
特に自動車などは堅牢である上に、屋外駐車場でしたら無傷である可能性は高いと言えます。
この震災で私は備蓄量は3日から7日間にしようと考えています。
自宅に4日分、車に3日分、会社に1日分で計8日分です。
現在、私の場合、自宅と会社は非常に近い上、自動車通勤が多いので、会社に備蓄しておく必要はないのですが、何かのために1日分(1人分)の水と食糧を備蓄しています。
自動車には3日分(x3人分)、自宅には4日分(x3人分)になります。
水に限って言えば、車には3-6L、自宅には予定も合せて、ミネラル水1.5Lx7、同500mlx21、ポリタンク水20L、風呂水200Lとなります。
その上浄水器を備えていますので、備蓄以外に水を得ることもできます。
分散した備蓄が全滅でもしない限りは深刻なほどには水には困らないと考えます。
東京に通勤していたときは、2日間は十分に過ごせるだけの備蓄を会社にしていました。
【備蓄方法】
容器は基本、ペットボトルでも十分ですが、ひとつぐらいは保温性のある水筒があるといいと思います。
理由は温かい飲み物を配られたり調理したときに、長く保存するためです。
ペットボトルは大きなモノと500mlと両方あった方が便利でしょう。
また、キャンプ用品で売っていますが、折りたたみ式のタンクがあると便利です。
かさばらない上にオプションでシャワーになったりコックを付けたりできます。
私は空の米軍水筒を車に積んでいます。
金属のマグカップとコンロがセットになっていて、固形燃料と浄水剤、塩をセットしています。
非常時になったらペットボトルの水を注いで使います。
コンロとマグカップがあるので煮炊きもできます。
これは登山にも使っていますが、非常に便利です。
私が車載し、キャンプや登山でも使っている水筒。
【浄水器】
浄水器と言ってもいろいろな種類がありますので、ここではまず、以下の条件を考えてみたいと思います。
1.最低限度の飲料水がある(1日1人500mlなど)
2.風呂やポリタンクには飲用はできないが、煮沸すれば飲用も可能な水がある
3.屋外にて化学汚染されていない水源がある
1の場合は浄水器は必要ありません。
ただし避難生活に十分必要な水が確保できるとは思えないので、2と併用することが多いと思います。
その場合は、単に繁殖した雑菌を濾過すればよいので、市販の浄水器でもよいと思います。
ただし当然、電気や水道水の水圧を必要としないものでないと稼働しません。
割に本格的な浄水器が必要になるのは3です。
または2と3を併用せねばならないような非常事態です。
このようなときは高性能な浄水器とできたら煮沸手段はあった方が良いでしょう。
ただ、3が一番かさばらない状況ではあります。
性能の良い浄水器はそれなりに高いモノですが、このような事態に際して色々吟味して買っておくのも良いと思います。
私が非常用として所有するスイス・カタダイン社製、カタダイン ミニ。NATO軍でも使われている。
キャンプなどをしない方でも一度、キャンプ用品店など覗いて、自分にあった防災用品を探してみることをお勧めします。
SD110418 碧洲齋