その昔、中国は夏王朝最後の王、桀の時代。
もともとは賢明で質素倹約を好み、名君だった桀王だった。
食事の器などもただ焼いただけの、極質素なものだった。
ある日、辺境から桀王を慕って蛮族の王が朝貢してきた。
蛮族の王は木の器をきれいな漆で塗り、金箔をちりばめたものだった。
桀王はいったんは辞退したものの、わざわざ辺境からやってきた蛮族の王を思いやり、その器を使うことにした。
しかしよい器を使ううちに、その器にうまいものを盛りたくなった。
うまいものを盛ると酒も飲みたくなった。
酒を飲むと美女たちの舞も観たくなった。
美女たちの舞も豪華な宮殿で観たくなった。
かくして桀王は歴史に残る伝説の暴君へと変貌してしまった。
そんなことから私はあまり日常生活用品にこだわりは持たないのですが、ひとつ、ご飯用の茶碗だけは気に入っていました。
それは結婚して間もなく、妻が駅の専門店で買ってきた備前焼のご飯茶碗でした。ザラザラゴツゴツした粗い造りの陶器でしたが、その時は備前焼とは知らず、結構気に入って6年ぐらい使っていように思います。2.3年前にふとしたことで割ってしまい、以後、「マイ茶碗」を持たずにいました。しかしどうしても備前焼のご飯茶碗が頭を離れませんでした。
先日、近所の大きい公園で陶器市があり、やっとお気に入りの備前焼ご飯茶碗を手に入れました。その時初めて知ったのですが、以前私が使っていたものは割と高かったものだったとか。やはり高いものは違うんですね。割ってしまった茶碗は今回買った茶碗よりも味わい深い趣でしたが(価格もずいぶん違うようですが)、今回の茶碗も結構気に入って使っています。
マイ茶碗
SD100925 碧洲齋