石に心はあるのか、という公案があります。
石に居ながらにしてyesとnoを超越した見解が持てそうな場所に行ってきました。
大谷石というのはよく土蔵とか古い感じの壁などに使われている、軽石のような石です。
実際、のこぎりで切る事ができます。
たぶんご覧になった事がない人はいないと思います。
この資料館、地下にありますが、夏でも12度でした。かなり寒いです。
広さはたぶん野球場ぐらいはあるのではないのでしょうか。
戦時中は戦闘機の組み立て工場として使われていました。
実際に見られるのはごく一部のようです。
雰囲気としては日本ではなく、ピラミッドの内部、エジプトの発掘現場のような感じでした。
ぜひ行ってみてください。
すぐ近くにあるのが、真言宗大谷寺。
公式サイトはありませんが、幾つものサイトで紹介されています。
ものすごい古い寺です。いつできたのか分からないぐらいで、奈良時代後期から平安時代初期と云われています。
仏教が伝来してほとんどすぐってことですね。
普通のお寺と違うのは、本堂の奥半分が大谷石の洞窟になっています。
ご本尊様は千手観音様です。荘厳です。神秘的です。
魂にビビビッと来る感じです。
本堂横の洞窟に彫られているのが右から順に釈迦三尊像、薬師三尊像、阿弥陀三尊像。
真ん中の薬師三尊像が一番小さいのですが、同時に一番古いもののようです。
とはいえ一番新しい阿弥陀三尊像ですら鎌倉初期ですから相当古いものです。
驚くべき事はその仏像群の直下にて縄文時代の遺跡が出た事です。
ほとんど完全な成人男性の骨と生活遺品が発見されました。男性は11,000年前のものだそうです。
太古の昔から霊的な場所だったという事でしょうか。
私がよく行く川口市の峯ヶ岡八幡神社も神社ができるずっと前から霊的な祈りの場所として使われていたようです。
大昔の人たちは心で場所を観る事もできたのでしょう。
大谷寺の近くには他に平和観音があります。これは巨大です。
造られたのは終戦間もない昭和23年。まだ人々が餓える事もあった時期に造られました。
平和のために、平和を願って造られました。
だから今日見たこの観音像は静かに涙を流していました。
原爆の日のためだと思いますが、大谷石で造られたキャンドルランタンがたくさん置いてありました。
場所柄か、大谷はえもいわれぬ独特の雰囲気がある場所でした。
これ「たげ」と読むんですね。
不動明王は私と息子の守護者です。
友人の息子たちと戯れていた息子も、さすがに神妙に祈っていました。
あちこちに不動明王の利剣を模したモニュメントがあったのですが、息子が嬉しそうだったのが印象的でした。
もの凄く長い階段を上りました。
上がったところに般若心経が丸い石に彫られたマニ車がありました。
なかなか素晴らしい造りです。
本尊ご開帳は特定の日だけです。
珍しく鐘が突けたのでやってみました。
いつも不動寺でやっていますが、ここでも会心の音だった気がします。
天気はずっと曇天でしたが、最後までほとんど降らずに済みました。
天に感謝せねばなりませんね。
SD100812 碧洲齋