不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

はやぶさ帰還に思う

昨夜は坐禅会から帰ってきて、遅い夕食を1人で食べた後(妻子はすでに就寝)はやぶさの帰還を見ようと思っていたのですが、テレビはサッカーの試合、ネットは大混雑の様相でした。元々テレビはほとんど見ませんし、サッカーもそんなに興味を持っているわけではなかったので残念この上もありません。

一夜明けてつぶさにニュースを確認しましたが、本当に帰還していましたね。実に素晴らしい。私などはこの感動的なニュースを「宇宙戦艦ヤマト」の帰還のシーンように思ってしまいました。実際、宇宙戦艦ヤマトもそうだったと思いますが、はやぶさも不況のあおりで実に爪に火を灯すような低予算で開発、製造されました。半連合国家EU、宇宙開発大国の米国、好きなものに好きなだけ独断で予算を投入できる中国と異なり、泣けてくるほど少ない予算で日本の宇宙開発は進められています。フロリダにあるNASAケネディー宇宙センターに行ったことがあります。壮麗です。巨大です。規模の大きさに圧倒されました。種子島宇宙センターには行ったことはありませんが、映像で見る限り規模が哀しいほど全然違います。NASAも90年代以降、競争する相手であったソビエトがなくなったので、予算はガンガン削られていますが、それでも日本からすれば湯水のように使っています。ものすごくうらやましく思いました。

しかし翻って今の日本の宇宙開発を見るに、なかなかいい線を行っていると思います。無能で意地の悪い政治家どもの無理解のお陰で、宇宙開発は常にギリギリの綱渡りをしてきた観があります。こんなに予算が少ないのに(NASAの10%ぐらいとも言われますが)はやぶさイカロス、あかつき、かぐやなど、湯水のように資金を投入する欧米型とは一線を画した手法がとられています。H2シリーズのロケットも、回数を重ねていくうちに精度は上がりコストは下がると思います。

今度のはやぶさのミッションはある意味、50m先の5円玉に米粒を投げ入れるぐらいに難しかったと思います。この広大な宇宙空間で移動しているわずか500m程度の岩の上に降りてサンプルを採取して、それを持ち帰るという作業は気が遠くなるような精緻さと入念さが必要だと思います。しかも推進エンジンは従来のものではなくイオンエンジンを使うという大胆な取り組みもしています。

幾つもの致命的なトラブルを乗り越えた経験は得がたいものと思います。ある意味、イオンエンジンを使ったことやイトカワに行ったことよりも凄いことではなかったでしょうか。このはやぶさ帰還はアポロ13号を思い出させます。これを機に「2番じゃだめなんです」と強く言える技術や人間を創出して行けたらいいと思います。日本人だけの力で有人ロケットまでこぎ着けたいですね。それはもう夢物語ではなく、「いつ」というレベルの問題にまで降りてきています。国威掲揚のためではなく、バブリーな国家予算を投入するでもなく、軍事利用に供するわけでもない日本のこの宇宙開発技術を日本人は皆誇りに思い、支援していきたいところです。

政治、経済、防衛、スポーツと、どれをとっても暗いニュースばかりだっただけにこのニュースは文字通り希望の星として日本人の頭上に燦然と輝いた気がしてなりません。

「宇宙、それは人類に残された最後の開拓地である・・・」

できたら、とてもお金のかかる宇宙開発は地球人みんなが一丸となってやって欲しいところです。{%うれしいwebry%}

SD100614 碧洲齋