不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

戦火のこと

今、韓国では哨戒艦爆沈の事件で大きく揺れています。

同じ民族が南北二つに分かれて銃を向けあっている現実に、彼らはどのように感じているのでしょうか。日本人にはなかなか分かりにくい現実です。

韓国はどのように動くのでしょうか。戦闘が拡大するのか、うやむやになるのか。私は世界でも屈指の平和な国、日本のごく近い隣国で戦闘状態に入ったことに恐れを抱きます。そしてそれが同じ民族同士であることに深い悲しみを覚えます。そしてその民族が日本と古来から深く関わってきた民族である故に、同情を禁じ得ません。

彼らはある意味、東西冷戦時代の被害者でもあります。そして北朝鮮は時勢に乗れず、置き去りにされたままです。遠からず大きな変化があると思いますが、やはり不憫なのは北朝鮮の国民です。

一時期、北朝鮮の書物をよく読みました。彼らには「おやつ」の概念がないそうです。口に入れる食べ物は全て生き延びるための糧なのです。だから英語で言うならば「live」という概念がなく、全てが「survival」ということになります。本当に恐ろしいことです。人としての道徳心や自制心などになりふり構っていられない状況では、彼らを獣扱いするような言い方は間違っています。少なくとも北朝鮮国民は被害者だと思いたいところです。

北朝鮮が崩壊したら、絶対に逃げてはいけないのはもちろん韓国です。東西ドイツが併合したとき、東の最優秀国だった東ドイツでさえも西ドイツの所得でたった1/4でした。それでもあれだけの混乱がありました。それは今でも続いています。北朝鮮は韓国の1/20以下、しかもそれ以前に国民の精神や思想が荒廃しきっています。もちろん国土も目も当てられぬほどに荒廃しきっています。ドイツどころの話しではありません。残念ながら韓国は例え国連が大きく助けてくれたとしても一世代ぐらい後退してしまうかも知れません。留学していたとき、韓国の学生は恐れおののきながら言っていました。「本当に済まないと思うけど、北朝鮮はそのままそっと滅んでくれればいい」分かる気がします。

一時、戦火が挙がるかも知れませんが、正直、北朝鮮はもうそれを継続するだけの力もありません。戦争の被害よりも復興の険しさの方が数百倍優るような気がします。韓国国民の皆さんはどのくらい、同胞に対してしてあげられる覚悟を持っているのでしょうか。

中国やロシア、日本も傍観しているわけにはいきません。何と言ってもすぐそこの国なのですから。ただ、一国の矜恃として、言われるがまま、過去の事を引きずり出されてなお救いの手をさしのべるのは良いと思えません。それならば本当に何が悪いのか分かるまで苦しんだ方が、きっと後世彼らのためになると思います。朝鮮半島という地理条件故に苦しんだことには同情しますが、米国を除けば地理的に文句がないところは少ないでしょう。その辺り、韓国の皆さんには分かって欲しいと思います。自国民でも辟易するような民族主義を打ち出しても多分それは長続きしないと思うのです。これは先進国(何を以て先進国とするか、議論の余地がありそうですが)は全て通ってきた道でもあります。

皮肉やイヤミで言っているわけではありません。韓国人たちがどのように思っていても、日本にとって韓国は最も近い隣国です。不幸になって欲しいとは本気で思っていません。しかし呆れるような民族主義や過去にこだわった物言いでは、忍耐強い日本もやがて見放します。

金総書記の訪中に当たって、ふとそんなことを思ったのでした。

SD100507 碧洲齋