不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

南斗白鷺拳のシュウ

歳を重ねる事に好みが変わっていく「北斗の拳」キャラで、割と不動なのがこの南斗白鷺拳のシュウです。「北斗の拳」では珍しく終始善良な拳士です。他の南斗聖拳の使い手と異なり、華麗な足技を使う辺り、昔はあこがれました。盲目というところも何となくカッコいい感じがしました。 「北斗の拳」ファンのみなさんは考えたことはありますか?南斗六聖拳のうち、他の5人は皆、それなりにオシャレで、人によってはきらびやかな装飾をしているのに、何故シュウだけ北斗チーム並みに薄汚い格好をしているのか。一匹狼のレイでさえも、よく見ると白い羽根飾りなんか付けているときがあります。 シュウが他の拳士たちと決定的に違うのは、彼は「父親」でもあるからだと思い立ちました。北斗南斗を問わず、シュウだけが既婚者です。レジスタンスのリーダーとして、サウザーに立ち向かうだけでなく、息子を育てている一人の父親としても生きているわけですから、オシャレなどしているヒマなんかないのです。必死なのです。作者はその辺りを意識して描いていたのでしょうか。ケンシロウのように正義にカマかけて、冷酷に敵をいびりながら殺すような、独身お気楽拳法ではないのです。運命だ宿命だと言いつつ、フラフラとあっちこっちでケンカを売りまくっている連中に比べたら、シュウの戦いは本当に切実さがにじみ出ています。 戦い方を含めた全ての生き方を息子にさらけ出しているのです。荒廃した世界で、強力な覇権を相手にしている最中にです。頼みの妻もいません。多分それはとても重圧だったと思います。私はシュウの生き方に今までも共感していましたが、子供ができてからと言うものは、共感する以上に彼の生き方に思いを馳せ敬意を払いつつ、良く参考にしています。 ま、立派な息子を期待する前に、自らの言動を慎み、徳を積み重ねていかねばなりませんね。息子の目に何かとまるほど、父の背中に何か見いだすにはもっと修行を積まねばなりません。
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南斗白鷺拳のシュウ SD100427 碧洲齋