不動庵 碧眼録

武芸と禅を中心に日々想うままに徒然と綴っております。

ロシアのこと

同門がロシアにいます。数年前に縁を持ちました。以後、ずっと親交を保っています。 ロシアというと日本人にはまだあまりなじみがない国ではありますが、あちらでは日本製の車をはじめ、武術などの面でも非常に近いものがあるそうです。 ロシアというといつも思い出すエピソードがあります。 かのプーチン大統領来日の時の話です。 講道館よりプーチン大統領に柔道六段の段位を贈られることになりましたが「私は柔道家ですから、六段の帯がもつ重みをよく知っています。ロシアに帰って研鑽を積み、一日も早くこの帯が締められるよう励みたいと思います」という言葉とともに、これを丁重に辞退したそうです。 私の目から見ても在日中に見せたプーチン氏の稽古姿はシロウトではありません。なんちゃって有段者でもありません。なかなか素晴らしい動きだったように記憶しています。そしてこの言葉です。慎み深いと言うよりは「名誉六段を蹴る」ホンモノの武道家であることを伺わせました。こういう感覚の持ち主が国の中枢を担っていることは頼もしいと思います。何でも段位に飛びつくようなエセ武道屋には概してロクなのはいません。やたらと高段位者が有象無象にはびこっている武門があったら、武道ならぬ不道と言わねばなりません。 彼の大統領在職中の業績を見ると素晴らしいものがあります。もちろん血なまぐさいことがあったことも否めませんが、正直、ロシアをはじめ、まだまだ貧しい国は日本のようにキレイゴトで物事を処理している場合ではないということもよく理解します。 私のロシア人武友もそんなところを持ち合わせた、素晴らしい友人です。正直、彼らから学ぶことも多々あります。宗家や師は武芸を通して世界中に素晴らしい友人を作りなさいと言っていましたが、武芸を通じて異国の素晴らしい友人と出会えることは本当にありがたいことです。 私も彼らに恥じないよう、研鑽を重ねなければならないと思うのでした。 SD100128 碧洲齋