最近は会社で終業近くになるといつも外を眺めます。
晴れている日は実に見事な夕空に見とれます。
地平線近くは橙色をしているにもかかわらず、上空は蒼色です。
どこからが橙なのか、どこから蒼が始まるのか全く線引きができません。
本来、色相環からすると赤色系と青色系は対極に位置するはずなのですが、
空はその対比すら実に見事につなぎ目も残さずして融合させてしまいます。
こんな時、私はこの大自然に畏敬の念を持たずにはいられません。
人の心にも神と悪魔が共存していると言います。
もし人の心を色彩にしたらこんな具合に美しいのだろうかとも空想します。
武技においてもこのくらい自然に対極をつなぎ合わせることができたら、
恐るべき神業にも近いものになるのではないかと、
不埒かつ無粋なことにも思いを馳せてしまいます。
近頃は対極という視点が薄らいできた気がします。
うまく文字にできないことが歯がゆいのですが、強いて言うなら
それはそのまま、その通りであり尽くしている様だけがあると感じています。
対極的というのはまさに人の心による視点の産物ではないかと思います。
そうすると般若心経に出てくる「観自在菩薩」はなかなか意義深い気がします。
なにものにも囚われない、自在な観点を持てるような達人になれれば、
きっとこの世はもっと美しく見えるに違いありません。
美しい自然が後々の世代にまで届きますように。
SD091222 碧洲齋