「歳寒くして、然る後に松柏の彫゙むに後るるを知る」
私は毎年冬になる度にこの言葉を思い起こします。
特に今年は全世界が経済的大打撃を受け、
路頭に迷った方も多かったと思います。
迷われた挙げ句、自らの命を断った方もいました。
私も例に漏れず、生涯忘れ得ぬ大変な年になりました。
思えば武芸の修練というものは松柏のようなものではないでしょうか。
平時において、人が世の春を謳歌する中で汗水を流します。
戦時においてはやはり、人の矢面に立ちます。
またいずれかの世にしかいない場合などは
まさに「貞観政要」の創業か守成かの問いに似たり。
それを思えば平時でも戦時でも松柏の如く
心を持ち続けて修練にいそしむことは、
それだけでも大変意義があるようにも思います。
平時にこそ武芸の修練に求められるのは
「好きこそ物の上手なれ」、好きであり続けることが肝要な気がします。
「恒産なくして恒心なし」と言われますが、
私は恒産なくとも恒心を持ち続けたいと思います。
2009年師走13日 碧洲齋